「兵助くん兵助くん、私もお手伝いしようか?」

『いえ、結構です。貴女に怪我させるわけにはいきませんので』

「そんな気使わなくていいのに〜兵助くんは優しいね!」


今日の昼間のことを思い出してみた、ら吐き気がした。
学園を麻痺させている原因、神崎姫香のことだ。
そして俺達の大事な大事な名前をも陥れようとしている、あの女。

正直学園はどうなったっていい。

六年の先輩方があの女に夢中になって鍛錬を怠ろうが、あの女が言った「殺生はだめ」という言葉に忍たまたちが授業に参加しなかろうが、
俺達には関係ない。
関係があるのは、名前があの女に取り入れられようとしている。そこだ。

だから仕方なくあの女について探っている。

わかったこと、あの女は異質な存在である。
まずあの甘ったるい匂い。
俺も一瞬意識が飛びそうになったが、一緒に居たはっちゃんに助けられた。
たぶん嗅覚が一番優れてるはっちゃんだからすぐにわかったんだろ。

たぶんその匂いを必要以上に体内に入れてしまうと、先輩方のようになってしまうみたいだ。

それとあの女は未来から来たらしい。
名前も言っていたけど、平成という戦のない平和なところから来た、と。
それが本当ならあの女は時代を超えてここに来た、ってことだろ。

狂言だ。
そんなのありえない。

今は忍たまたちに「殺生はいけない」と言い教えている始末。
それを素直に受け入れる忍たま達も忍たま達だけど、ほんと馬鹿げてる。

先輩たちも今は護身用の苦内さえ持ってるか不安だ。
別に先輩方はどうなろうがいいんだけどな。
あんなに名前名前って俺達のように依存してた先輩方も今は天女さまさまだ。
その点に関してはいい働きをしてくれたと思ってるけど。
名前の心は返してもらわないと。


『な、名前』

「んぁ、ゃ、あ…//」


くちゅくちゅ。

名前の卑猥な姿が俺のすぐ真下にあった。
寝間着も今はただの布と化し、そこら辺に転がっている。
ああ名前、首元が赤くなってるじゃないか。
…勘ちゃんか、はっちゃん、だな。
ちくり、上からまた俺がその赤い印を上書きすると名前は溜まっていた涙を落とした。

名前可愛い、愛してる。


『名前は、俺のこと好き…?』

「はっ、……ん、好き…だよ」

『じゃぁ俺の願い事聞いてくれるよね?』


もう神崎姫香と会わないで。

耳元で低く言えば名前は一瞬目を開き、下を向いて涙を零す。
何でだよ、何でそんな悲しい顔するんだよ。
あんな女どうでもいいだろ!
俺達を、俺を、久々知兵助を見てくれよ!!


「うん…わかっ、ひゃあああ?!//」

『っ、は…名前、名前、』

「やだ、ぁ、抜いてぇへい、すけ…んぅ!//」

『名前、は、俺のだ…っ!』

「へ、すけ…だめっ、な、んか、ゃ、ぁあ!やぁあああ…っ!///」




ごぽり。


後始末をした俺は気を失ってしまった名前の頭をできるだけ、できるだけ優しく撫でた。
だめだ、やっぱり俺には名前が必要なんだ。
名前の気持ちがここになくても、俺はお前が欲しいんだよ。



(なぁ、どうしたらお前を取り戻せるんだ)
(あの女がいなくなればいいのか?)
(苦しい、苦しいよ名前)








110316

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このぐらいの裏なら鍵つけなくても大丈夫ですかね…?