天女さまはその名の通り、天に帰られましたとさ。

あの女の実態がどうであれ、闇に消された真実は神崎姫香が殺された、ということで。
俺の寝てた間に何もかも終わっていたのは拍子抜けだったが、


『名前、ご飯粒ついてる』

「え? あ、ありがとう」

『うまいな』

「あ、なん、なんで食べるの!恥ずかしいよ兵助…//」

『ごめんごめん』


名前と恋仲になれた。
あの女のおかげで名前が手に入った。
なら、もうどんな終わり方でもいいかなって。

だって、ほら。
あそこに座ってご飯を食べている六年の先輩方。
皆俺のこと羨ましそうに見てる。
優越感。

名前は俺のですから。


「「「「…ッ」」」


矢羽音を飛ばしてみた。
あ、七松先輩ご飯詰まったらしい。
大丈夫かな…?
中在家先輩が七松先輩の背中を叩いてあげて、善法寺先輩がお茶を汲んであげている。


クイクイッ


「どこ見てるの、兵助」

『いや何でもない』

「……あんまり僕以外見ないでね?」

『!// わかってるって』


名前の不意打ちの可愛さにやられた。

ああ、ほんとに毎日が楽しい。幸せだ。
あの女に感謝しなくちゃいけないな。








『ムカツクムカツクムカツクー!』

「…何がそんなに不満なんだ神崎姫香」

『名前くんがあの忌ま忌ましい久々知兵助にとられて、終いには私殺されるし、何なのよ!どうして?!皆私のこと好きになるんじゃなかったの!』


ふわふわと雲のような霧が立ち込める不思議な空間に、私、神崎姫香はいた。
ここは私が忍たまの世界に行く前の分岐点の場所。

それから目の前にいるこの男こそ、私を忍たまの世界に落とした男。
きっと天使さまって呼ばれるやつなんじゃない?
ああ、こいつもムカツク!
逆ハー補正つけろって言ったのに、ついてなかったし!
私死んじゃったし!


「俺は言ったはずだ。全員が全員お前を好きになるわけじゃないって」

『そんなの聞いてないわよ!』

「お前が有頂天で人の話を聞いてなかったからだろ」

『っ!』

「人の気持ちが強いとコントロールすることは不可能だ。あらかたあの五年生のやつらは、名字名前にご執心だったんだろうよ。相手が悪かったな」

『っ!もう一回私を忍たまの世界に落として!』


気持ちが強いからコントロールできない…?
じゃぁいいわよ。
逆ハー補正なしでも構わない。
私が名前くんをもう一度振り向かせてみせる!

だから早く私を落として!


「何言ってるんだお前」

『な、に?』

「二回目はないって言ってるんだよ。お前は失敗作。もっとおもしろいもんが見れるかと思えば…つまんねぇ。もういいから死んでくれ」

『失敗作…?死んでくれ…?どういうことよ。そもそも私は死んで、っ?!』

「ここは生と死を繋ぐ場所。まだお前は死んでない。…けど、お前つまんないから、」


ぐるぐるぐる。
目が回って、気持ち、悪、い。
何よ…こ、れ…ど、うなって、


「さいなら」



視界が

ブラックアウト。







「今度はもっとおもしろそうなやつ、連れてくるとするか…」


天使さまの余興は、これにて終幕。








110919……………………
ちょこっとしたアフター話を入れました。
やっと連載が終わってホッとしてます!
今まで見てくださって、ありがとうございました!^^