the Secret Room | ナノ
the Secret Room



はじまりのおわり



ぺたり

と頬に冷たいものが当たって、ベティは目を覚ました。

ゆっくりと目を開けると、そこに居たのはフレン。
その彼の青い瞳は、どこか申し訳なさそうにこちらを見つめていた。
彼の手は冷んやりとしていて、少し緊張しているようにも思える。


「ごめんね」


そう言って微笑した彼は、首筋にキスをしてきた。


「……やっ!」

ベティはびっくりして、彼から離れようと身体をよじる。
が、ジャラジャラと金属音が響き、彼女は自分の腕を見た。


その光景はにわかに信じ難く、目の前のフレンを不審な目で見てしまう。

「そんな顔で見られたら悲しいな……」

フレンはしゅんと眉を下げる。

「どういうつもりなの…?ここ…どこ?」

ベティは手枷をはめられ、鎖で壁につながれている。

「ここは、一応城の中だよ……僕の部屋のひとつ」

確かに壁や内装はザーフィアス城のものだ。
窓はカーテンが閉まっているようで、さらにその上から板が打ち付けられている。
これだと、外からみればただカーテンが閉まっているだけのように見えるだろう。

「異常な事だってわかってるんだ……だけど、君がユーリのものになるのはやっぱり許せない…耐えられないんだ……」

彼はベティをぎゅうぎゅうと抱きしめた。

「やめてよ……こんなことしても意味ないじゃない…」

「意味ならあるさ」

フレンは急に立ち上がって、くすりと笑った。



「ベティをここに閉じ込めておけば、永遠に僕のものだ」


そして


「ユーリのものにはならないんだ……絶対に」


と拳を握った。



「ばかみたい……こんなふうに縛り付けても、心は手に入らないのに……」


「すぐに気持ちだって僕のものにしてあげるよ……もう僕なしじゃ生きられないくらいにね」

フレンは人の良さそうな笑みを浮かべ、似つかわしくない所作で彼女の服を破った。

驚きに目を見開く間も無く、乳房を鷲掴みにされ、彼のぬるりとした舌が這う。

「やめて!!やだ!!」

どうしようもない気持ち悪さに、ベティはこれでもか、と抵抗した。
だが、男の力で抑え付けられればそんな抵抗も虚しく、ぬるぬると先端を舐められ彼の唾液が脇を伝っていく。

熱い。
熱を帯びた彼の舌は、熱い。

おまけにしっかりと硬くなった彼の股間が、太ももを押し返して来る。
身長180センチの男にのしかかられ、彼女はろくに身動きも取れずにいた。


ちゅっ

じゅっ


そんななまなましい音が響く。

「……硬くなってる…気持ちいいんだね?」

フレンはチロチロと先端を弄びながらも、揉みしだくのをやめない。


「そんなわけないでしょ!」

ベティは緩まることのない彼の腕の中、必死でもがく。
そんな姿を見て、彼はまたぬるぬると舌を動かし、吸い込み、転がす。

「……っ!」

不意にベティは、びくんと下半身がうずく感覚に戸惑う。


「ほら、すぐ良くなるからね」

優しいフレンの声が耳元で響く。
彼は優しくて恐ろしい。



彼の手が下へと伸びる。


「やだっ……!やめて!お願い!!」

ベティはそうさせまいと暴れたが、会無く指先が割れ目に触れた。

そして事もあろうに彼の指は、ぬるり、と滑る。


彼女の中からは、ユーリだけが知っているはずのものが溢れていたのだ。

「すごいね、胸を舐めただけでこんなに濡れてる……」

フレンの言葉に、愚辱の意味はないだろう。
でもそれが酷く恥ずかしく思えて、ベティはカッと頬が熱を帯びるのがわかった。

彼の指はクリトリスを彼女自身の愛液で濡らして、さらに言いようのない感覚に襲われる。



「君はユーリへの罪悪感でいっぱいになってるんだろうね。でも、そんな事すぐにどうでも良くなるからね」


どこまでも優しく囁かれた言葉。

だが、それは優しさから来るものではない。
独占欲だ。


「今日はここまでだよ」

フレンはぴたり、と手を止めた。
ベティは少しだけそれが嫌だと思ってしまったことに、酷く惨めな気持ちになった。

ユーリに会いたい。






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