鬼灯の冷徹
もふもふさせて
「鬼灯さまぁ〜
すみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたっ」
日向は鬼灯の腕にしがみついて、わんわんと泣きわめく。
「まったく、仕事中のあなたとそうでないあなたは別人ですよ」
「気が緩むんです〜なんか仕事中はビシッとするんです〜自分でもわかってるんです〜!!」
「……まあいです。事の発端はあなたじゃありませんし」
「ゆ"る"じでぐれ"る"ん"でずがあ"〜!!」
「濁点つけすぎです。あ、鼻水つけるのだけはやめてください」
「よくやりましたよシロさん
B級ホラー洋画の狼男みたいで素敵な登場でした」
そう言ってなでなで、とシロの頭を撫でる鬼灯。
日向もしてもらいたいな、とシロを羨ましそうに見つめた。
「はいっ鬼灯様!」
シロはへっへっへっと舌を出してしっぽを振る。
そのもふもふに触りたいと思ってしまうのは道理だ。
次の瞬間日向は鬼灯のなでなでなど忘れ、シロに飛びついていた。
「うあぁぁ!もふふもふふふっふ」
「あ、ちょっと、鬼灯様ったすけてっ」
シロはぐりんぐりんと撫で回され、ふわふわした毛もぼさぼさになっていく。
「………」
鬼灯の目には、動物と動物がじゃれあっているようにしか見えなかった。