鬼灯の冷徹
好きなタイプ
「ごっっはん〜♪♪ごはん〜♪」
日向はエビフライ定食を大盛りで頼み、誰かいないかと席を見回した。
「あっ…鬼灯様いたっ」
「こう言う子とかけっこうタイプです。早いとここっちにきて欲しいですね」
ガシャン!!
日向は鬼灯の隣に定食を置くと、そっと席についた。
「………なに?修羅場?」
視界に入っていなかったが、閻魔大王が鬼灯の向かいに座っていたようだ。
ただならぬ空気にオロオロと慌てふためいていた。
「現世で浮気ですか鬼灯様」
日向はいただきます、と味噌汁をすすりエビフライにはしを進めた。
「……ただ単に、女性のタイプを話していただけです」
鬼灯は、いつもの冷静な様子で食事を進めている。
「女性のタイプ!!??ど、どんなひとですか!?」
「………もうひとしきり話しましたので。閻魔大王、お先に失礼します」
そう言って鬼灯は席を立ち、食堂を出て行ってしまった。
日向は大きなエビフライを頬張ると、閻魔大王に無言で視線を送った。
「ええっと…なに話してたっけな…あは、あははは……」
大王も盆を持つと、ご馳走様…と慌てて席を立ってしまった。
「…しまった…威嚇しすぎた」
日向はうーんうーんと唸りながらも、もぐもぐと食事を進めるのだった。
一方、食堂を出た閻魔大王。
「鬼灯くんのいうタイプってまんま日向ちゃんの事だよねえ……」
再び日向。
『今週のオーストラリア旅行当選者は、ご覧の方々です』
とテレビからの声で画面をみて、目をまぁるくさせていた。