満月と新月 | ナノ
満月と新月



あなただけを



ふと目を覚ませば、暖かさを感じる。
辺りはまだ暗い。

隣で眠っていたのはユーリで、なぜか他の皆はここには居ないようだ。
ユーリを起こさないようにベッドを降り、窓辺に立って外を見る。


いつのまにか、雨はあがっていたようで、綺麗な星空が覗いていた。
魔導器を失い3日。まだ照明は用意が間に合っていないようで、港町は真っ暗だった。
民家には旧式のランプがあるのか、部屋には所々に柔らかな明かりが灯っている。案外悪くないものだ。



ふと背後からそっと抱きしめられれば、慣れたぬくもりにベティの表情も緩む。


ユーリが顔をくっつけてくるので、そっとキスをする。


「何が見えんの?」

心地いい低い声が耳元で響く。

「新しい世界かなぁ」

ベティはクスリと笑った。

「そりゃいい」

「ランプの明かりだけの真っ暗な街も悪くないでしょん」

「ああ………デュークだけどな、まだ大陸は渡ってねえみたいだ。あんだけ目立つのに、誰も見てねえみたいだからな」

「そっか、ありがとねん」

「成果ねえから、ありがとうはまだ早いぜ」

「ねえ、パティたちは?」

「ああ、なんかオレらに気ぃ使って別で部屋とってるぜ」

「ええ!?誰が言い出したのぉ?レイヴンでしょ?」

「パティだぜ。恋人の時間を邪魔するヤツはサメに喰われろだってよ」

「サメ……ははっ!パティってば、あんなでも大人だもんねぇ」

「だからオレら久々に2人っきりってわけだ」

ユーリの顔は見えないが、不適に笑っているのがわかる。



「………さ、寝よ寝よ」


ベティはユーリの腕を解いて、ベッドに潜り込んだ。しかも真ん中に。

「おい」

ユーリも彼女を追いかけベッドに入るが、体は半分出てしまう。

「ベティさーん、おーい」

ユーリが耳元で囁くが、無視だ。

「寝るならもっちょい寄ってもらえませんかー」

「……………」

「んにゃろ」

ユーリはベティのわき腹をおもいきりくすぐった。



「ひゃっ!やややっやめて〜ははっあははっ」


ベティは本気で体をよじる。

「気持ちよくしてやるっつてんだよ」

ユーリは手を緩めず、彼女の体を自分の体重で抑える。

「や〜!ほんとにっ!」

ユーリはぴたっと手を止め、彼女の頬を撫でた。





「……いい女みっけ」



「ふふっいい男みっけ」


ベティはそっとユーリの髪を彼の耳にかけた。

ユーリはゆっくりと唇を近づけ、触れるだけのキスをする。
すぐに離れ、もう一度口付ける。今度は深く。
するりと舌を滑り込ませれば、ベティも中を犯してくるそれに自身の舌を絡めた。

ねっとりと絡め合い、息苦しさすら感じる。

ユーリはスッと、彼女の首の下に手を滑り込ませて、抱き寄せると、さらに激しく舌を絡めた。


唇をはみ、優しく髪を撫でる。

ベティが求めるようにユーリの背中に手を回せば、彼は服の中に手を入れて、体を撫でていく。

「……んっ……」

ユーリは慣れた手つきで、彼女のブラを外した。

そのまま滑るように胸元をまさぐり、こねるように弄んでいけば、ベティの呼吸はすぐに乱れ始める。


ユーリが上着を脱がせると、艶っぽい彼女の体が露わになった。

そのままスカートも取り去って、ユーリも帯を解いて上を脱ぐと、ぎゅっと抱きしめあい、お互いの体温を確かめる。



確かに感じる温もりが、とても心地よい。


ユーリがぱくりとベティの耳をはむ。

「あっ…」

ぎゅっと抱きしめたまま、首筋を舌先でなぞり、右手で彼女の肩を抱きながら、左手は胸の突起を弄ぶ。
こねたりつまんだりすれば、ベティは熱っぽい息を吐く。


「んっ……あっ……」


ユーリがねっとりと胸の突起を舐める。
素早く舌先を動かし、吸い付き、甘噛みする。

無意識か、ベティの腰が動くので、ユーリの右手も胸を撫でていく。


「……はあっ……んぁっ……」


ユーリがするりと内腿を撫で、下着を脱がせる。
彼女の股の間を指でなぞれば、溢れ出した愛液が指に絡んだ。
突起をそれで濡らして、指先でくすぐるようにこする。


「ああっ……んっ……やっ……」


ベティの体に力が入る。


「ユーリ…っ……イッちゃう……!」


「まだ指で触ってるだけなのに?」

ユーリは意地悪に笑った。



「……んんっ!あっあああっ!」


ベティはぎゅっとユーリの腕を掴む。

彼は敏感になっている彼女の中へと指を滑り込ませた。
ねっとりと中はユーリの指に吸い付いてきて、ビクビクと動く。


「はっ……んっ…」


鳴き声のような喘ぎ声をベティがあげれば、ユーリはさらに激しく攻めたてた。


「ユーリっ!…き…もち…いっ……あっ…」


ぐちゅっ

くちゃっ

熱っぽい水音が響く。
ユーリは指を動かしながら、クリトリスにも舌をはわせた。


「あっ!……んっ…ふぁっ…」


ベティは目に涙を溜めて、シーツを握った。
突起を転がすように舐め、中はこするように動かせば、愛液はどんどん溢れてくる。


「…も…むり……イク………」


ベティのか細いつぶやきに、ユーリはさらに激しく攻める。
彼女は大きく息を吸い込んで、ビクビクと腰を揺らす。同時に中も敏感に動いて、ユーリの指を締め付けた。

喘ぎ声が漏れ、荒く息をしているベティの髪を優しく撫でると、ユーリはゆっくりと指を引き抜いた。

彼女が見つめ返してくる瞳は、熱っぽく潤んでいる。
この時間が終わらなければいいのに、ユーリはそう思った。


ベティはすっとユーリの体を撫でると、ズボンを脱がせようと引っ張ったので、彼は素直にそれを脱ぐ。
下着も脱ぐと、痛いほど張り詰めたユーリの欲は、先走りが先端を濡らしていた。


彼女はユーリを押し倒して、欲の根元から先端へと舐め上げる。
ユーリはぶるりと体が震えた。

ベティはそのまま押し込むように咥え込んで、口の中でいやらしく舌を動かした。


「……っ!……はぁ………」


ユーリは気持ち良さそうに眉を寄せた。
舌を裏筋にそわせながら、ベティが上下に動けば、じゅっじゅっと卑猥に音がなる。


深く咥え込んだかと思と、今度は浅いところを締め付ける。


「……お前上で、入れろよ」


ユーリはベティの髪を梳く。

彼女は困ったように眉を下げてこちらを見るので、ユーリは起き上がり、ぐいっと抱き寄せる。
腰を引き寄せ、自身を彼女の割れ目にあてがった。

「ほら」

ユーリがにやりと笑う。

大胆不敵なベティだが、自分から入れるのが何故か恥ずかしいようだ。

「んー」

ベティは甘えるようにユーリに抱きつく。

「入れてやんねえぞ?」

ユーリはベティの背中をなぞった。

「…………」

ベティは恥ずかしそうに伏し目がちになりながら、ユーリの欲の先端をそっと入口に持っていく。

彼女がゆっくりと入れようと腰を下げ始めた瞬間に、ユーリは彼女の腰を掴んで、一気に奥まで突き上げた。



「ひゃんっっ!……ああっ……!」


ベティは抗議の目でユーリを見つめた。

「んな顔すんなよ……気持ちいいだろ?」

ユーリは意地悪っぽく口の端をつりあげた。

「ユーリこそ」

ベティはゆっくりと腰を揺らし始める。

ユーリは上半身もベッドに預け、ベティの腰を撫でる。
彼女が動くたびに、ベッドはギシギシときしむ。


「んっ…んっ……ふっ…」


ベティは気持ち良さそうに眉を寄せる。
ユーリも突き上げるように腰を動かし始めると、彼女の吐息のような喘ぎ声は、途端に音になった。

「あっ!あっ!……んっ…やぁっ…」

ユーリはベティを抱き、ぐるりと体をひねった。
そして彼女の足をぐっと開き、突き上げるように腰を振った。

「だめっ……イク……んぁっ!……あぁぁぁぁっ!」

ベティは気持ち良さげに涙を流す。
ユーリがゆるゆると腰を動かしていると、彼女は両手を広げて、こちらを熱っぽく見つめてくる。


「ユーリ……」


「ん……」


ユーリはぎゅっと彼女を抱きしめた。
そして優しくキスをする。

「ベティしか、欲しくねえわ」

「うん」

「愛してる」

「うん」

「放さねえ」

「うん」

ユーリとベティは顔を見合わせて、くすりと笑った。
月明かりだけが照らす部屋は、2人だけの空間。


ユーリは彼女を抱きしめたまま、腰を動かす。


ベッドが軋む音と甘い吐息。


2人の世界には、今はそれだけあれば充分だった。


「もう……イクぜ?」


ユーリの言葉にベティはコクコクと頷く。



「ああっ!んっ…あっああっ!」


激しさを増して腰を振れば、彼女も気持ち良さそうに鳴く。

「……っ…はっ…くっ…」

ユーリは一気に欲を解放した。

奥へ奥へと何度か突けば、ベティの中もヒクヒクと動く。

「ユーリ」

「ん?」

「愛してる」

「知ってるぜ」


ユーリは優しくベティの頭を撫でた。


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