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心は皮膚の上にある(1)

季節は繰り返し夏が来て冬が来てそして春が来る。僕は一つ上の学年になった。クラス変えで青山くんやみどりと別のクラスになった。


涼一とは、相変わらずの生活を繰り返している。


「ちょ、ま……っ」
「緊張しなくていいよ、洋二郎」
「あ、りょういち、あ……っ」

毎日一緒にお風呂に入る。そして同じベッドで眠る。そんな日々が定着し、その中で誰にも触られたことのない場所を涼一に暴かれるのは、当たり前のことになっていた。

ベッドに入ると、涼一がすぐに唇を奪ってしまう。だから僕は、壁の方を向いて涼一に背を向けて寝るのが癖になった。そうしていると時々、涼一の掌がするする伸びてくる。涼一の熱い指先は背骨や腰を撫で、ごく自然にスウェットのズボンに入り込んでしまう。

「りょ、涼一……」
「ん?」
「……するの?」

涼一と性器を擦り合うことは今では決して珍しいことでない。なんだかんだで、週に3、4日は行っている。大好きで楽しみな音楽の授業だって週に1回なのに、涼一は忙しいペースで僕を見知らぬ快感にいざなってしまう。

「緊張しないでね」
「ん……っ」

囁かれた言葉の意味を理解するより先に、涼一に唇を奪われた。反射的にぎゅ、と目をつむると、暗闇の中で涼一の舌の動きが明白になってしまった。熱さとうねりに酔っていると「緊張」が身体から抜けていくのが分かった。

涼一は僕のことをなんでも分かっている。肌が触れるたび心まで握られてしまう。

「う、あ……っ」

深いキスに酔いしれていると、いつの間にか布団の中でスウェットのズボンと下着を脱がされていた。熱い掌でなぞられ包まれるだけで、すぐ硬くなってしまう。涼一の右手が動くのを、目を閉じたまま感じていた。

「……洋二郎」
「ん……っ?」
「ここ、遣ってみたいんだけど」

しかし今日は違った。涼一はすぐ右手を離し、代わりに奥まった部分に触れた。ひた、と指先を添えられた時、今まで熱いと感じていた涼一の指先より触れたことのない僕のその部分の方が何倍も熱いことを知った。僕はあまりに怖くて、何も言えなかった。

「洋二郎、固くならないで」
「……」
「少しでも痛かったら言ってね」

涼一は一度身体を起こし、ベッドサイドのボードから細長い何かを取り出した。緊張とすこしの恐怖に首さえも動かせなくなった僕は、身体中こわばらせたまま涼一の動きを見上げていた。涼一は細長いなにかから、とろりとしたやっぱりなにか分からないものを手に出していた。そして濡れた右手を、僕の後ろへ持っていった。

「あっ!」
「……緊張しないで」

冷たいような、けれどどこか優しいぬるさを持ったようなそれをまとい、涼一の指先が入り込んできた。涼一の言葉もむなしく、僕は反射的に身体を強くこわばらせた。

「洋二郎、キスしよう」
「え……、んっ」

涼一は指先を挿れたまま覆いかぶさり、ぼんやり開かれていた僕の唇を奪った。僕はたぶん、涼一の唇が好きすぎる。慣れない状況に戸惑っていても、キスされると体中の力が自然に抜けてしまう。








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