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※今回の後半は、2万打でいただいたリク小説、「人の口には」と微妙にリンクさせてあります。





「こらハルア!じゃなかったルッチ、まだ髪が乾いておらん!」

「さっきからいちいち手出ししやがって。もう体にも慣れてるから放って置け」

「やかましいのう。ハルアの体でそう怒るな」

「…そのハルアはどうした」

「ん?ブルーノに付き添われて風呂」

ばしゃああああん

「「!?」」

時刻は既に日付が変わった頃。
窓の外は当然闇に沈んでいるが、ブルーノズ・バーの中はいまだに灯りと声で騒がしい。

中身が入れ替わったまま、ハルアの帰りを祝う宴会の席を抜けて来た彼らは、既に寝惚け眼のハルアの背を押して(ブルーノとカクが抱えようとすると、ルッチが心底嫌そうな顔をしたため)ブルーノズ・バーに落ち着いた。
一人で、もしくはハルアと、と譲らなかったルッチをブルーノが軽々と持ち上げて風呂場に放り込み、ブルーノの命令のもと、監視・補助という名目でカクも一緒に放り込まれた。
二人とも「何が悲しくて!」と反抗したものの、ハルアの「あがったら冷たい飲み物用意しておきますね!」の一言+ブルーノの無言の絶対的保護者命令に負けて、仲良く湯に浸かることに。

半身を湯に浸けても体の自由がきくことにこっそり感動したルッチだったが、反対にハルアの方はそうも行かなかったらしい。
ルッチとカクの二人が風呂場へ駆けつけると、激しく咳き込むハルアをブルーノが介抱しながら脱衣所から出てくる所だった。

「も、もしかせんでも溺れたのか?」

「ああ。つい気を抜いたが、やっぱり一人で行動させられないな」

「ふえ、ふええええルッチさんごめんなさい…!」

「大丈夫かハルア、深呼吸しろ」

「ふえええ、げほっ!」

溺れたショックに眠気も上乗せされているのか、ルッチの体でふにゃふにゃと床に崩れ落ちたハルアをルッチが支える。
鼻を鳴らしながら眉を下げて咳き込むルッチ(の体)。
険しいとも言えるようなきりっとした表情で相手をあやすハルア(の体)。
その光景をどうしても笑いそうになる二人は必死に口元を隠しながら見守った。

「ごめんなさいルッチさん、このままじゃいつか怪我させちゃいそうです…」

「…俺の体がブルーノと二人で風呂に入った事実の方が悲しい」

「それを言うならハルアの体とは言えルッチと入ったワシも悲しい」

「一番肝を冷やしてるのは俺だって知ってたか?あと俺は手助けしただけで、さすがに一緒には入ってないからな」

広くも無い脱衣所の前でしょぼくれる三人だったが、クザンからの警告文を読まされたブルーノが最も心中が穏やかでなかったりする。
今度何かあったら殺すよ?的な内容をオブラートに包むこともされなかった手紙は、今はブルーノのポケットの中。

いちいち神出鬼没なクザンなだけに、ブルーノは始終心が休まらない状態で頭をフル回転させていた。
特にハルアを悲しませたり怪我をさせたわけではないが、この状況はおそらくマズイ。非常にマズイ。
一秒でも早く二人を戻したい彼の心労をよそに、当の二人はカクに怒られながらもひっついたまま。

「ふえ…」

「怖かったな。やはり明日から俺と」

「明日はワシが面倒見るから、おぬしはブルーノとな」

「勘弁しろ…」

「お前らいつまでも座り込んでないで寝ろ。カクはハルアを抱えてハルアの部屋へ。ルッチは…」

「問題無い。ハルアの所で寝る」

「そろそろ殴って良いか?」

「殴れるもんならな。それに」

ぴん、と引かれるルッチのパジャマ。
それを掴む手を辿ると、さっきからうつらうつらと意識を必死に保っているハルア。
その手をカクが外そうとするも、眠気に負けて本格的に寝に入ったハルアはぎゅっと力を込めてしまう。

「これじゃあ仕方ないだろう?」

「ハルアの顔でドヤ顔するな」

「っは…。おいカク落としたら殺すからな」

「落とすか!こうなったらワシもハルアの部屋で」

「カクさん何言ってるんですか?空気読めないんですか?バカなんですか?
ぼくの部屋に三人入ったりしたら狭いに決まってるじゃないですか。帰ってくれます?」

「ハルアの顔と声で言うなあああああ」

「兄貴分とか言うのもそろそろやめてくれます?」

「ぐわああルッチと分かっとってもキツイ…!!!!」

「お前ら元気だな…」

「むにゃ…」


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