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※この小説内では、作者様のお宅の夢主の本名を【変換その2】、愛称を【変換その3】に設定してあります。




ポカポカ陽気、麗らかな春の陽射し。
吹き渡る風はどこまでも優しく、その少年のサラリとした黒髪を柔らかく揺らした。

「ふわあぁ…!ルッチさん!この島、本当に素敵な島ですね!……せっかくのお休みにわざわざぼくをこんな素敵な場所へ連れて来て下さって…!本当にありがとうございます!!」

少年、***は傍らに有る長身の男へと微笑んで礼を述べる。

「……あぁ。この島には以前、仕事で訪れたんだが…、是非***を連れて来てやりたいとずっと思っていたんだっポー。」

長身の男、ルッチはニヤリと口角を上げる。
ウォーターセブンが水の都なら、こちらはさながら草花の都、だろうか。
街の至る所に花々が咲き乱れるその街並みは様々な色彩に溢れている。
……そんな街中を***と2人きり歩けたらどれだけ楽しいだろう、そんな思いでルッチは***をウォーターセブンからやや離れたこの春の島へと誘ったのだが。

「本当に良い島じゃろ?***。この島はケーキも有名でな!……後で一緒に食いに行こうかの!!」

「ケーキか。オレぁ苺の乗ったショートケーキが一番好きだな。」

「苺!おいしいですよね!ぼくも大好きですよ、パウリーさん!!」

「……パウリー、お主…顔に似合わず随分とファンシーな趣味なんじゃのう。」

「だっ!誰がファンシーだっ!」



「………………。」



ギリ、とルッチは唇を噛む。

(どうしてこうなった……!)

ルッチは思い返す。
誘ったのは***だけ。
そう、***だけ、のはずだったのに。
暫しの船旅を***と楽しみ、***と共に島へと降り立てばポン、と叩かれた左肩。

『お!偶然じゃのう!ルッチ!***!!』

『……何だよ、ルッチ。せっかくの休暇に***を連れて材木の買い付けか??』

振り向けばそこにはニヤニヤと笑うカクとパウリーの姿。
***は素敵な偶然だと大層喜んだが…現れたおじゃま虫×2にルッチは引きつった笑みを浮かべた。
……因みに、2人が現れたのは勿論偶然なのでは無く。
材木の買い付けにこの島に来た、という口実でルッチが***に破廉恥(パウリー談)な事をしないように2人はルッチの後をつけたのだが。

「……ッチさん、ルッチさん?」

名を呼ばれて視線を落とせば、何処か心配そうに見上げるダークブラウンの瞳。

「……やっぱり、せっかくの休日に遠出をして疲れてるんじゃないですか?何だかボーッとしてるように見えるんですが…。」

「……!そんな事ないっ、ポー!」

慌てて首を横に振れば「そうですか?」とまだ心配そうな表情を見せる少年。
だが、「あ!そうだ!」と***は何かを思いついたような表情を浮かべると、ルッチに向かって満面の笑みを見せた。

「ルッチさん!疲れてる時には甘いモノです!ケーキ!ケーキ食べに行きましょう!!」

***が見せる日だまりのような笑顔にルッチはたまらずギュゥとその小さな身体を抱き締めた。
……甘いモノ。それは***自身だろう?とルッチは***の匂いをスン、と嗅ぐ。
仄かに薫るのは、林檎の匂い。
「む、むむ…!ルッチさん!苦しいですよぅ!」と見上げる***のその額に口づけすれば破廉恥だぁ!***から離れろ!」とパウリーが喚いた。


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