予想図にメス-2 [ 20/98 ]
「それは置いていて…つまりじゃ、おぬしはあと数年もすれば、この!無駄に縦に長い無礼者のようになるということか!?」
「「えっ」」
「それとも頭の固いセンゴクか…下賤な笑みを浮かべる羽男か!小賢しいクロコダイルか、化け物じみたモリアか…っは、まさか腹の出た役人共のように…!!?」
「ちょちょ、ちょっと待ってくださいハンコックさん!なんだか話がよく分からない方向に向かっていませんか!」
「お前の中の男の印象はどんだけ歪んでんだよ…」
「歪んでいる?何を言う。実際、海軍の最高戦力を謳う貴様は、今こうして部下から逃げ回る醜態を晒しているではないか」
「あーちょっと聞こえないわーそんな歳でもねえのに聞こえないわー」
大人だけに喋らせると、どんどん話が謎の方向へ向かっていくという事実はどうしたものか。
ハンコックの話を聞いていて分かるのは、彼女がいかに“男”という生き物を分かっていないかということ。彼女の考える人類は、どうやら冗談ではないレベルで女性だけで構成されているらしい。
どうしてそうなった、と言いたくなるような偏りに偏った考え方だが、女ヶ島で育ったことを考えれば仕方ない。…いや実際は全く仕方なくはないのだが、残念ながらそう考えて納得するしか道は無い。
…そもそも、もはや彼女に本気で口を出せる人間がそうとう限られていることも問題な気もするが。
「ハンコックさん、大きくなっても、きっとぼくはちゃんとぼくなのですよ」
「む!?」
目を吊り上げてクザンと言い争っていたハンコックの手をなまえが取ると、気が鎮まったようで口を閉じた。そちらとは逆に気に食わない様子のクザンには、サロメが空気を読むようにと鎌首をもちあげることで黙らせておいた。
「大丈夫ですよ、人のふかーい所はそんな簡単に変わらないそうですから」
「む、むむ…」
「大きくなるまでに色んなことを経験して、体や心はどんどん変化していって、それでもその人はその人ですからねえ。
って難しいことを言ってみても、子供のぼくが言うんだから全部想像なんですけどね?」
あなたはどうですか?ふかーい所は変わっちゃいましたか?
手を握ったまま笑顔でそう聞けば、しばらく考えた後、「わらわはわらわぞ!」と力強い言葉が帰って来た。
「ね?男性だってきっとそうなんですよ。
例えぼくが大人になって、クザンさんくらいまで背が伸びたとしても」
「「それはない」」
「!!?
と、とにかくそれくらい見た目が変わっても、ふかーい所ではちゃんと今のままのぼくもいると思うんですね。少なくとも、いつになってもこうやってハンコックさんとお喋りできることは嬉しく思うはずですよ」
へにゃりと照れ笑いするなまえの言葉に、感極まったらしいハンコックがわなわなと小さく震えている。俺とは?俺とは?と割り込んでくるクザンの足にヒールをめりこませてから、握られていた手をぎゅぎゅっと握り返した。
「その言葉、嘘偽りは無いな!?わらわに嘘など吐こうものなら、なまえであっても承知はせぬからな」
「こんな大事なことで嘘なんて言ったら、もうハンコックさんとお茶もお喋りもできなくなっちゃうじゃないですか。そんなのはヤですから、嘘なんて言わないですよ」
「なまえっ…!!ええいやはりこれ程に健気ななまえが男である訳があるものかあああああああ」
「ええええ、また話がそこに戻りますか…!?」
「とりあえずハンコックは、俺の足貫通させてるヒール、早くどけてくんない?能力者じゃなかったらホント洒落ならないからな、これ」
「なまえが…っなまえが女であれば娘にも妹にもできたのじゃ…!女であれば…っ!!」
「ハンコックさん、話がまた斜め方向に逸れているようなんですが!」
「いやわらわとしては息子や弟でも良いのじゃが、やはり島に連れ帰ることを考えると女であるにこしたことはない。ニョン婆も何かと口を出してくるじゃろうし、やはりここは…」
「ハ、ハンコックさん!?ハンコックさーん!?」
「(ぶつぶつ)」
「あららら…。暴走する女は怖いねー」
「黙れ貴様はいつまでここにいるつまりじゃ呆け者めがっ」
「俺の声は聞こえるのかよ。あとお前がヒールどけないから動けないの!」
「お二人とも、喧嘩は!喧嘩はダメですってばー!!」
未来予想図にメスを突きつけるのです「ええいこうなったDr.ベガパンクを!Dr.ベガパンクを呼べ!奴になら今からでも男を女にすることも出来るであろう!!」
「えええええええええ」
「何それマジでこわっ。男としては最高に怖いんですけど」
あとがき
月羅様にいただいたリクで、「連載番外編で、少年とハンコック様でほのぼの」でした!
…さて、ほのぼのとは何だったのか…(こら)
何でしょうね、ハンコック様が絡むとどうにもドタバタするみたいです。この人も七武海の一部の方々と同様に、どこまでもゴーイングマイウェイな方なんだと思い知りましたよ…。
そして2人だと空気がもたなかった(えっ)ので、クザンさんに乱入していただきました!私はクザンさんを何だと思っているのか…!
月羅様、お待たせいたしました…!
久しぶりのハンコックさんに、口調やキャラに不安を感じて調べながらの執筆でしたが、やっぱり難しいですねハンコックさん!しかしその分だけ楽しいので、逆に厄介なお方です(笑)
ではでは、この度は企画へのご参加、本当にありがとうございましたー!!
管理人:銘
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