箱入り息子-2 [ 22/98 ]

「……その悩み、とっっっ…ても分かります」

「え!?+++くんもですか?」

「なまえくんとほとんど同じ状況で、こちらは父上とおじ様なんです。
昔から仲が良いのか悪いのか分からないお二人でしたが、最近父上が本気でおじ様を殺しにかかっているようなんですよ」

「ク、クロコダイルさんとドフラミンゴさんの間に一体何が…!?」

そう、昔から仲は良くなかった。あの賑やかな親戚が現れる度に父親は良い顔をしなかったし、実際、「あ、この人終わったな」と思う程に父親をマジ切れさせた所を何度も見ている。
それでも+++はドフラミンゴのことは嫌いではなかった。全てにおいて彼の父親が最重要であり最優先だっただけで、昔から変わらず飄々としているドフラミンゴを少し尊敬さえしている。…まあ、「父上ほどではないですが」と厳しい一言が付く訳なのだが。

「むむむ、どこのおうちでもこうなんですかね」

「ぼくとなまえくんの家はある意味特殊ですけどね。ですがお互い、喜ばしい状況ではない訳です」

「そうなんですよね。お泊り…どうブルーノさんに言い出しましょう…」

「………なまえくん、ちょっと携帯お借りしても?」

「え?はいどうぞ」

この時、+++の眼がギラリと彼の父親と親戚の両方に似た怪しい光を帯びたことにはなまえは気付かず、何の疑いも持たずに携帯を手渡した。
何やらカチカチと操作をしているが、なまえ側からは何をしているのかは見えない。

「ところで、ルッチさんにお誘いを受けているのは何日ですか?」

「えっと、今週の土曜日です」

どうしてそんなことを聞かれているのか分からないままに答えると、+++はなまえの携帯を耳元に当てた。誰かに電話するのかと、なまえの頭上には???が浮かぶ。

「……あ、ブルーノさんですか?こんにちは+++です」

「え、えええええええ」

「今は携帯をお借りしているんですが、実は今週の土曜日になまえくんをうちにお招きしたいんです。…ええ、そうです。できればお泊りをと考えているんですが…はい、はい」

「え、+++くん?え、ええ!?」

「分かりました。はい、ありがとうございます。なまえくんにもぼくから…はい。いきなりの連絡ですいませんでした。はい、失礼します」

ぴっ

そんな音で会話が終了して、携帯の画面を軽く拭いてから、どこかやりきった顔でなまえに携帯を返した。

「え?え?+++くん、今のって」

「あ、あー、大変ですなまえくん。あんなことを言ったのに、土曜日は用があるんでした」

「+++くん、まさか…!!」

「困りましたね、ブルーノさんにはああ言ってしまったのに」

微塵も困った顔をしていない+++は、軽く息をついてそっぽを向く。
そんな彼の言わんとすることはさすがのなまえでも分かってしまって、しばらくは何とも言えない顔で唸ったあと、携帯のメール作成画面を開いた。
メールの宛先は、ルッチのアドレスに設定。

「ところでなまえくん、来週の金曜日にでも、なまえくんのおうちに遊びに行っても良いですか。
……何か急用が入って、行けないことになるかもしれません、が」

「ううう…良いんですかねこんなこと…!」

「何言ってるんですか。偶然予定が変わっただけです。さてぼくも父上とおじ様に連絡を」

雨雲のすっかり去った屋上で、携帯のキーを打つ音が2人分。
2人が帰って来ないことにそろそろしびれを切らしたルフィが屋上の扉を壊す勢いで開けるのと同時に、送信ボタンが押された。

「お互い苦労しますね、なまえくん」

「苦労だなんて、そんな」

「そうですね。苦労と言うよりかは、幸せ疲れというやつですね、これは」

「幸せ疲れですか。ふふふ、それなら仕方ないですよねえ」

「お前らこんな所にいたのかよー!勝手にどっか行くなよなー」

「「はあい」」


箱入り息子?いえいえ、ただの幸せ者です


「ぐおおおお」
「ああ、やっぱりまだ寝てましたねゾロくん…」
「あらお帰り。なまえを探しに行った+++まで帰って来ないからルフィがうるさかったわよ」
「ちょっと2人で屋上に」
「この雨上がりに?」
「虹を見ていたんですよ。ねえ」
「ふふふ、そうですねえ」
「あんたらそんな乙女なこと言っても似合うから困るわ…」


あとがき
仔鳥様にいただいたリクで、「連載の少年と拍手の子鰐で、成長した2人のコラボ」でした!

むしろ箱入りな勢いの2人。蝶よ花よと育てられたものの、案外しっかり&ちゃっかりに育ったみたいです。高校生にもなれば秘密もできますよそりゃ!
それにしても「友達の家に行く」と言って他の人の家にって……彼女かっ!!思春期かっ!!って言う(笑)

それぞれの保護者組の仲が悪くなったのは、きっと「そろそろ本気でうちに下さい」みたいなことを言って当然のごとく却下されたからかと。子供の知らないところで保護者組が睨み合ってるんですかね。ううむ親の心子知らず!

仔鳥様、遅くなってしまって申し訳ありませんでした。
携帯をいじる2人を想像するだけで楽しかったですえへへ…!!この度は企画へのご参加、本当にありがとうございましたー!

管理人:銘


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