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こんにちは、ハルアといいます。
クザンさんの紹介で、今はとある島で給仕をしています。
ぼくはまだ十歳の子供ですが、皆さんとっても良くしてくれるんですよ。

ああ、幸せだなあ!

この島に住んでいるCP9の皆さんは、世界政府の暗躍諜報機関だそうで、その存在は極秘事項であり、ずば抜けて優秀な方々が集まっています。
すごいんですよ!“六式”という不思議な体術を使って、いくつもの任務をこなしていらっしゃいます。
何度か見ましたし、体感させてもいただきました。(まあ失神してしまったんですが)

そんな皆さんはこの島の人気者です。
怖がっている人もたくさんいますが、給仕さんたちは彼らに近付きたくて堪らないようで、食事の給仕やお部屋のお掃除はそりゃもう大人気です。
本当は担当が決まっているのですが、それぞれのお目当ての方に当たるため、いろんなやり取りが行われています。

ちなみに、ぼくに担当が回って来たときは他の給仕さんに譲ってあげることにしています。
ぼくは歩いていれば皆さんが声をかけて下さいますし、スパンダム様やカリファ様にはよくお飲み物を頼まれるので、結構ひんぱんにお顔を見ることができます。

むむむ、なんて光栄な!

カク様、ブルーノ様、フクロウ様、クマドリ様とはなんとお茶飲み友達です。(畏れ多い!)
ぽかぽかとあたたかいこの島でのお茶会は、毎日とても平和なのです。

ルッチ様もよくいらっしゃるのですが、たいていは皆さんに追い払われてしまいます。
皆で飲んだ方がおいしいですよと言ってみても、あいつはダメじゃ、と返されてしまいました。ルッチ様には今度お菓子でも作って持って行ってみましょう。

夜には(外はいつでも明るいのです)ジャブラ様とおしゃべりをします。
ジャブラ様はどうやら給仕のギャサリンさんに恋をしているらしく、彼女とのことやルッチ様との仲のことをたくさん話してくださいます。
いかに他のCP9の方が冷酷でねじ曲がった性格かを説いてくださいますが、そんな風には見えないんですけどねえ・・・。

最後はおーいおいとしがみ付いて泣かれてしまうので、苦労していらっしゃるんだなあ、と僭越ながら頭を撫でたりなんてしてみたり。
今の所七割の確率でルッチ様を筆頭に皆さんがやって来て、僕たちのおしゃべりは中断されてしまいます。喧嘩するほど仲が良いのでしょうね。

・・・とまあ、こんなにもぼくは良くしていただいているのです。

彼らに熱い視線を送っている彼女たちに、少し申し訳なくなります。
だからこそ、ぼくはできるだけお洗濯や給仕室のお仕事に回って彼女たちを応援しているのですよ。
恋する女の人は、あんなにも可愛らしいんですから!

「ルッチ様、ありがとうございました!」

「気にするな、いつでも言え」

えへへへ!
しかしなんとなんと、今はルッチ様と一緒に洗濯物を干しています!
どうやら鍛錬場でカク様とジャブラ様が手合わせをしているらしく、人気の高いお二人を見ようと、給仕さんたちはそわそわしていました。(可愛い!)
今日のお洗濯は量もそんなに無かったので、行って来てくださいと声をかけると、ありがとう!と全員に抱きしめられてしまいました。(恥ずかしい!でも嬉しい!)

「ハルア」

「はい?う、わあ!」

ルッチ様はどうやらぼくをぎゅーっと抱きしめるのがお気に召しているらしく、そういえば初めてお会いした時もこうでしたね。
あの時は鉄の匂いがすごかったのですが、今はお酒の匂いでしょうか、大人の香りというやつです。

「ハルア、ハルア」

「ひゃあああー!」

くすぐったい!くすぐったい!!
耳元で名前を何度も呼ばれると、じん、と頭がしびれてしまいます。
そういうことは、どうか他の給仕さんたちに!
きっと泣いて喜んでくれますよ!
想像すると、なんて大人な世界・・・!

正直に言ってしまうと、こんな風にスキンシップをしてくださることが、本当は泣いてしまいそうになるほど嬉しいのです。
こうやって抱きしめていただいたり、頭や頬を撫でてくださったり、褒められたり、名前を呼ばれることさえ。



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