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ああ、なんてあたたかい。
なんてお優しい。
なんて幸福な。

でも、生まれ育ったあの島でもう泣かないと決めたのです。
もう、一生分の涙はあの島で流してしまいました。
お父さんとお母さんに全部あげてしまいました。

だから、この島で優しい方々に囲まれても、うれし涙なんて流してはいけません。
以前油断してしまい、スパンダム様に褒められた時にぽろりと涙が落ちてしまい、そりゃあもうえらい騒ぎになってしまいました。
カリファ様が止めてくださらなけば、カク様の刀がスパンダム様の腕を落としていた所です。ひゃああ・・・!

少しぼやけてしまった視界を誤魔化すようにルッチ様の服を握ってみると、かっと目を見開かれたかと思うと腕の力が強まりました。
ぐえええ、少しばかり、苦しい、ような・・・!

「ぐ、ル、ルッチ様・・・!」

「・・・!」

おや、どうしたんでしょう。

ぼくの気持ちが伝わったのか、腕の力を緩めて、今は上の方を見ています。(助かった!)
つられて見てみると、ああ、塔のあのあたりは鍛錬場だったはずです。
さっきまで何度もすごい音と声援が聞こえていましたし。

「ちっ」
「え!?」

舌打ちされた!!?
と思ったら、そのまま数歩後ろへ下がるルッチ様。え?え?

がごおおおおおおんっ

えええええええええ
鍛錬場のあたりの壁が吹っ飛び、がれきと共にカク様が降ってきました!!
ちょっと!えええ!!
ルッチ様が事前に下がってくれたおかげで、がれきの雨を受けることはありませんでしたが、な、なにこれ怖い!

月歩を何度か使い、地面に華麗に着地したカク様。さすが!
まるで子供のように拗ねた顔でしたが、こちらに気付いた瞬間、くわ!と目を吊り上げました。

「ルッチ!おぬしおらんと思っとったらまた・・・!!」

「ばかやろう、二人の時間を邪魔しやがって」

「やかましい!」

「おいカク無事か・・・ああ・・・」
「見たか俺の新技!って化け猫おおおおおお!」
「目を離すとこれね。セクハラにも程があるわ」
「ハルア、こっち来るチャパパー」
「よよい!まあったく〜う!相変わらず〜(割愛)」

ひゃあああ、皆さん次々と飛び降りていらっしゃいました!
心臓に悪い光景です!!

「ワシの可愛い弟分に気色の悪い視線を向けるな!」

「ハルアがお前の?・・・はっ・・・」

「カク!今回は俺も参戦するぜえ!」

え!え!ちょっと皆さん!
いや、やれやれじゃあなくって!
たしかに見慣れた光景ですが、怪我でもしたら一大事です!

「噛み殺してやろうか、化け猫!」

「ほざけ野良犬が」

「ワシのことも忘れてくれるなよ」



なんて平和なエニエスロビー!



「ひゃあああ!お、狼さんと豹さん!」
「あら、ハルアは初めてだったかしら」
「もこもこ!むむむ、肉球!しっぽ!」
「お、おい危ねえだ狼牙・・・!(勝ち誇った顔)」
「ハルア、背に乗せてやるぞ」
「え!ルッチ様―!」
「あああハルア−!」
「ワシだって空中散歩させてやるぞ!(涙目)」



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