クレマチスの丘
雨が降っていた
虚ろな目をした彫刻に
滴がしたたり落ちると
立ち止まった人はじっとそれを見ていた
視線を感じたのか
彫刻に反射したじぶんの顔を見ているのか
すこし離れた場所でわたしも彫刻を見た
花びらは枯れてくすんだ色をひろげ
土はやわらかくなり
霧のような雨が肌を湿らしたけれど
わたしもその人もなにも言うことはなく
ただ、そこでじっとそうしていた
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