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いつ、何時でも


ボクの彼女は少し変わっている。



「雨か…」



いつもの様に任務をこなし、里に帰還。
怪我もなく無事に帰って来れた事にほっとする。

今までのボクなら、任務での死傷はある程度仕方ないと思っていた。死ななければ、あとはどうだってなる。でも今はそうは思わない、出来るだけ怪我をせずに帰ってきたい。


それは君の為に。



「名無しさん…」



一般人の君は、どんな思いでボクの帰りを待ってるのだろうか。

忍である自分は死を常に覚悟している。

君は、戦えないからこそ無事を祈る日々。待つことしか出来ないからこそ、ボク以上に覚悟しているはずだ。


大切な者がいなくなる、覚悟を。



「そんな覚悟なんて、させたくないけど…」


それでも、現実は残酷だから。
死は拭いきれるものじゃないんだ。

だからボクは、不安にさせないようなるべく怪我をしないように気をつけている。



「ふぅ…さてと…」



あれから雨の勢いは増して家に帰る頃には、どしゃ降りになっていた。
ベストが水分を含み、身体が重たい。

玄関でその重みのあるベストを脱ぎ捨て、一目散にある場所へ向かう。そこはベランダ。



「…ヤマト、おかえり」

「ただいま名無しさん、またここで待っててくれたんだね」

「…寒い!」

「そりゃ冷えるよ、こんなどしゃ降りの中ベランダ何かにいたら…」

「んー…ヤマト、ぎゅうして」

「はいはい」



そう彼女は、必ずここにいる。
どんなに天候が荒れても、必ずここでボクの帰りを待っている。

一度任務につくと、雨だろうが雪だろうが関係ない。どんな過酷な環境でも遂行あるのみ。

そんな中、待ってる事しか出来ない彼女なりの覚悟がこれ。
少しでも、ボクと同じ状況を感じていたいそうだ。



「お風呂入ろう…ボクも冷えて寒いし」

「うん、あったまろ」



変わっているとえば、変わっている。
正直、風邪を引いたりしないか心配になる事だってある。でも健気じゃないか、ここまで想われているなんて。

だから悪い気はしない。
むしろ、嬉しい限りだ。

 
さぁ、早くお風呂に入って身体を温めよう?
そこから、甘い時間が待っているんだからね。



「ヤマト…今日も、無事帰ってきてくれてありがとう」

「…どう致しまして」



ありがとうは、こちらの台詞だよ。
いつも、待ってくれてありがとう。

その感謝の気持ちを込めてキスを一つ贈った。



fin




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