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彼の想い


どれくらい時間が経ったのだろうか。

巧みなテクニックにより、何度も果てた。
それに比例して催淫剤の効果も薄れ、身体の疼きが治まる。

だが、高ぶった感情は抑えられなかった。
指だけでなくもっと刺激が欲しい、強い刺激が…


「テンゾウ隊長…抱いて…っ」


痙攣した身体を動かして、猫のように甘えて擦り寄る。そっと彼の下半身に手をやると、己を主張するように固くなっていたモノがあった。
自分で言うのも複雑だが、愛撫をされ続け痴態を見せつけたんだ。
健全な男であれば反応するだろう。

むしろ、ここまで我慢出来る事に驚きだ。

恥じらいはもう既になかった。
服の上から膨張したモノを人指し指でつぅっと撫でて、形を確かめる。その時点で分かる、大きいと。

一旦それを認識すると想像は膨らみ、止まらない。

どんな形や長さをしているんだろう、フェラをすれば彼は喜んでくれるか?
口腔に含んで、唾液を絡ませ吸い上げて、喘いで、乱れて、私と同じように果ててしまえばいい。
そのポーカーフェイスを崩して、雄の部分を曝け出したい。

しかし彼は黙ったまま。
反応も抵抗もなくて、それを暗黙の了解と受け取った私は直接触ろうとズボンに手を掛けた。


「そこまで…」
「あっ…ゃあっ…!?」


両手を組み合わせた彼は木遁を発動して、私の四肢を拘束。いや、正確には制止の意味合い。


「最初に言っただろう?…ボクは君の自慰を手伝うだけだって」
「で、も…そんな…に、な…って…」


ズボンの上からでも分かるくらいに、彼のモノは興奮して膨張している。


「まぁ、あれだけ霰もない姿を見たら正常な男なら反応はするだろ?…うん、それは否定しない。けど、あくまで整理現象さ。何度も言うけどボクは君を抱くつもりはないし、抱きたいと思わない」
「…っ、汚れているからですか…」
「汚れている?」
「私が…色んな男と寝て、変な噂が立っているからなんでしょ…!?」


分かっていたつもりだった。
今までの自分の行い、男女の営みでは軽蔑されてもおかしくないと。

だけど…彼には、テンゾウ隊長には知られたくなかったのが本音。
私の憧れで、尊敬すべき人物には汚れた自分、裏の顔など知られたくなかったし、こんな姿も本当は見られたくなかった。


「…噂ね。あれだっけ、男を取っかえひっかえ。それに感じにくい、不感症とかなんとか?…はぁ、まったく君は。そんな事を気にしてるならもっと自分を大切にしなよ」
「っ」


その言葉に今までにないくらいの涙が溢れた。

四肢が木遁で固定されているので、涙を拭う事さえ出来ない。それに気付いた彼がそっと舌先で拭ってくれた。 

冷たくしたり、優しくしたり、この人が分からない。


「…ごめん、傷つけたね。でもそうじゃないんだ…名無しさん。解」
「っ、そうじゃないって…」


術が解除されると同時に暖かい感触。
その正体が彼の腕の中だと理解するのに少し時間がかかった。
木遁継承者特有の木々の匂いがいやに落ち着く。優しく抱き締められながら髪を撫でられ、ポツリポツリと言葉が聞こえてくる。


「こんな勢いのままは嫌なんだよ。薬で、その気になった君と繋がるなんて…」
「…っ、隊長…?」


その声色は切なそうで、そして愛しそうだった。何故、彼がこんな感情を私に見せるのだ。


私と、隊長は…この前会ったばかりなのに。





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