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高嶺の花


貴女を言葉に言い表すならば…
それはきっと、高嶺の花。

遠くから見つめる視線の先。
其処に貴女はいた。
 

「名無しさんさんに会えるなんてラッキーかもな…」


正確には会ったわけではなくて、見つけただけ。
中忍とまりで、たかがアカデミー教師をやっているオレが声を掛ける事なんて出来ない。
むしろ、言うほどの接点もなく。

ただ、オレが想い焦がれてるだけ。

出逢いは任務でヘマをし負傷して動けなくなった時に駆けつけてくれたところから始まる。



***



「足、怪我してますね…あいにく私は医療忍術が使えないので…乗って下さい」
「えっ、乗ってって…」
「里までおぶります。女に乗るなんて屈辱的だと思いますが、傷が深いですし無理に歩かない方がいいかと」


颯爽と現れ敵を軽々と薙ぎ倒す姿に見惚れていると、そんな言葉が降り注ぐ。


「屈辱的とか、そんな…!オレは…いや、私は助けてもらった身です。むしろ、そこまでご迷惑をかけていいのでしょうか…」
「ふふ、なら私も迷惑だなんて思ってませんので。さぁ、乗って下さい」
「…し、失礼します」
「はい。なるべく響かないようにしますので…」



***


まさか見知らぬ女性、それも暗部の人。
助けてもらった上にそこまでしてもらうとは思わなかった。情けなく感じるも、女性特有の柔らかさと香りに気持ちが安らいだのを覚えている。


彼女は暗部なので面をしていたが、深い深いそれは綺麗な蒼の長い髪が印象的だった。もちろん最後まで面は外される事はなかったが、その髪色は忘れる事が出来ず。

里に戻り、あの髪色を探す日々。
そして見つけた。

面を外した彼女はとても美人だった。
あれは周りの男が黙ってないだろう…同じ部署内だったカカシさんが彼氏とかありえそうだ。


「…オレ、なに一人虚しく妄想してんだか…」


暗部でも優秀で実力もあり、日夜危険な任務を受け里を守る為に貢献していると聞く。

そんな彼女とあれ以降の関わりなんて、あり得るわけもなくて。


「…好きです」


届かないなんて、知っている。
向こうはオレの名前さえも知らないはず。

それでも一度開いた衝動は、おさまらなくて。
恋、焦がれる。


そんな貴女はまさに、高嶺の花。


fin


続編【春が訪れる
ヒロイン視点




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