転校生が落ちるまでのあれやこれ
ジュボッ、ちゅっ、ズロォォ…ジュプッジュプッ
…すげぇ、鈴木がオレのチンコ咥えてる…。
ほっぺた頬袋みたいに膨らませて、亀頭舌でベロベロして、先っぽに吸い付いて、のど奥まで飲み込んで…。
苦しくて泣いてるくせに、美味しくて堪らないみたいに緩んだ顔して…。
「こ、ひゃか…ひもち…?」
まだ会って1週間で、相手は可愛くも格好よくもない鈴木なのに、一体なぜこうなったのか。
☆
「あ、今日からお世話になります。高坂です」
「あ、どうもご丁寧に。鈴木です」
初めての転校、初めての男子校、初めての寮生活。
初めて尽くしで緊張するオレを迎えてくれた同室者は、これと言った特徴のない普通の高校生、鈴木くんと言うらしい。
「えーっと、高坂くんね。オレ右の部屋使ってるから、左でお願い。届いた荷物中にあるから」
「あ、うん」
「なんか飲む?疲れてっしょ?」
「あ、おう、ありがとう」
持ってた鞄をとりあえず自室に放って、共同スペースのソファーに腰掛けた。
少し、居心地が悪い。
「いやーしかしビックリしたなぁ。高坂くんすげーイケメンだね」
「はっ?あー、いやいや…」
これまでの人生、初対面で何百と言われたセリフ。けど、未だ上手い返しの思いつかないそのセリフ。
今回も曖昧に否定して、誤魔化すように冷えたジュースを口に含んだ。甘。
「そんだけイケメンだったらある意味大変だろーなぁ。明日から頑張って」
「はっ?はぁ、え、何が?」
「いやぁ、モテんだろーなぁと思って」
言われた事が一瞬分からずキョトンとしてしまったけど、分かればフハッと吹き出した。
「いやいや男子校だろ!」
「ウン、なんだけどねー」
鈴木くんの冗談に笑って返したのに、当の鈴木くんは曖昧に笑って、さっきのオレの様に誤魔化すようにジュースを含む。
「え、なに、いるだろうなとは思ってたけど、ここってそんなホモ多いの?」
「割と多いよ。高坂くんその反応だとノンケだよね。ふふふ頑張って逃げたまえ」
「マジで?え?マジで?」
「いや、むしろ早いとこ目覚めた方が身のためか」
「ねぇよ!」
オレは鈴木くんの肩を叩いてツッコんで、二人で笑って、だからそれはただの男子校ジョークなんだと思っていた。
☆
「おぉ、お帰りー転校生」
「ただいま…疲れました鈴木くん」
「ウン、でしょうとも」
寮に入った次の日、転校生として初登校したオレはまぁモテた。
休み時間のたびに、なんか、主に可愛い感じの男子高校生に囲まれて質問責め。
鈴木くんが同じクラスだからそこまで緊張しなかったとはいえ、やっぱり転校初日で不安もあった。
だから好意的に接してもらえるのはありがたかったけども。けども。
「予想以上だったなぁ。オレ近づけなかったもん」
「…人垣の間からたまに顔見えたよ」
ソファーにドサッと沈んだオレに、昨日と同じようにジュースを差し出す鈴木くん。
「まぁ少しすればマシになるって。転校生には誰しも起こる有名税ってやつ?」
まぁ高坂くんイケメンだから尚更なんだけど、と笑ってキッチンに引っ込む鈴木くん。
料理とかすんのかな。
「そうなんだよ。共学ならある程度ね、オレ顔いいから女子にチヤホヤされる自信あったんだけど」
「自分でいうなよ。昨日はいちおう謙遜してた癖に」
「でも男子校で囲まれっとは思わなかったわ」
「いやー、高坂くんくらい格好よかったら、仲良くなりたいって思うのに男も女も関係ないんじゃね?」
仲良くなりたい………モテるの意味はこれだったか。
ありがたいんだけど、こうも騒がしいと少し…いや贅沢な悩みだな。
鈴木くんに聞こえない程度にため息をひとつ。
「高坂くん、飯つくっけど食う?」
そう言ってキッチンでカップラーメンを掲げる鈴木くん。
「いやインスタントかよ」
☆
転校して早5日。
初めの2〜3日は酷かった囲い込みも落ち着いた、かに見えるんだけど。
「なぁ鈴木。オレちょっと思ったんだけどさ」
「んー?」
「オレってすげーモテてる?」
「今更っすか初日からモテモテじゃないっすか」
フローリングに寝っ転がってガリガリさんを食べる鈴木。
こぼれんぞキタネーな。
「そういう物見遊山的な事じゃなくて、だからー…」
「なに、告白でもされたん?」
「あー…いやそうじゃねーけど。なんか居たたまれない視線が多いっていうか…あと明日休みじゃん。2人で出かけようって誘いが何件か…」
その誘いの感じが何か、物珍しい転校生目当てとか、友達になりたいとかじゃないようで。
「だからオレ最初に言ったじゃん。高坂くんモテんだろーなぁって」
「え、いやそれって、そういう意味で?」
「うん。ホモ的な意味で」
「…いやだって、自意識過剰かもしんねーけど結構な数の視線だぞ?」
本当に、自分で言うのもなんだけど、廊下歩いてるだけで前から横から後ろから熱い視線…みたいなモンがだな。
「うち8割ゲイかバイって言われてっからなー」
「ほぼほぼじゃねーか!」
「もう何十人に何十回とズリネタにされてんじゃね?」
「ヒィィィ止めろふざけんな!ズリネタとかガチ過ぎるわ!」
「そういやソイツで抜けるかどうかが友愛とガチの見分け方らしいぞ」
聞いてねぇよ!とツッコんだ後で、フとある可能性に気づいて口ごもる。
「ぁ。っと、もしかしてお前、も…?」
もし鈴木がそうなら、こんなにホモ拒絶するのは申し訳ない。
いや、別に拒絶してるってほどでもないけど。
未知の世界だから戸惑ってるだけで、だから。
「んー、分かんね。オレ恋した事ねーから」
「あ?」
「オレの友達にさ、男を好きになった奴がいて」
「…あぁ、うん」
フローリングに寝そべってガリガリさんの棒を咥えたまま、天井を見上げて話す鈴木。
友達にホモがいるって事に、さっきまでの自分の発言を省みて気まずくなる。
「すげーの。オレ恋に落ちた人間あんな間近で見んの初めてだった。目がトロンとしてさ、夢見心地ってーの?男だし平凡だしフツーの奴なのに、なんかキレーだなって思った」
「…はぁ…」
「オレその時まで男同士って何かちょっとって思ってたけど、ソイツ見てさ、異性だろうが同性だろうが、人を好きになるってすげーなって思ったん。だからさ」
クリっと顔だけこっちに向けた鈴木の顔は、珍しく真面目なものだった。
「相手が男とか関係なしで、ちゃんと思いだけは受け止めてやれよ」
「…おぉ」
その真っ直ぐな目に押されて、つい肯定してしまう。
「あーぁーオレも落ちるような恋してみてーなーぁ」
そしていつもの軽い調子でフローリングをごろごろ転がり始める鈴木。
ホコリ付くぞ。
ごろごろしてる鈴木を放って自室に引っ込む。
ベッドに入っても、さっきの話がぐるぐるして何となく寝られない。
オレも落ちるような恋とかしたことねーなぁ。
いつも告白されて何となく付き合って?
そこそこ長く付き合ったヤツは好きにはなっていったけど、それは恋ではなかった気がする。
「オレも落ちるような恋してみてーな」
鈴木の言葉を真似してみる。
鈴木は、恋をしたらどうなるんだろう。
鈴木の友達みたいに、そいつを見るとトロンとした目で、「高坂…」なんて。
「ってぇぇッ?!なんでオレの名前だよ!キモいわ!」
「はっ?高坂ー?どーしたー?」
「なんでも無いっす!」
リビングの鈴木にも聞こえる程のツッコミをしてしまったらしい。
ヤバいヤバいなんか分かんねーけど早く寝よう!
と思って目を閉じたらさっきのガリガリさんを咥えて寝そべってる鈴木が浮かんで来て意味が分からんなんでだよ!
さっき別にエロいとかも思ってなかったじゃん!
いや今だって思ってない!思ってないぞ!
ガリガリさんが垂れて鈴木の唇から溢れてツーって伝ってるのだってさっきも今もキタネーとしか思ってねーし!
だから息子に手を伸ばすんじゃない鈴木なんかズリネタにしてもイケる訳ねーし!ねーし!
「はぁっ、あぁ…っ」
ねーっつってんだろ手を動かすなオレのバカ!
「鈴木…っもっと強く…っ」
高坂の…デカい…
「っあ、バカ!」
オレの頭がな!
鈴木に何言わせてんだ!
高坂…オレと、落ちよ?
「っぁあ…っ!」
手のひらにヌルついた感触。
マジか。マジでか。
☆
「おー、おはよ……どした?」
「……………」
土曜の朝、鈴木の顔を見れないオレ。
そんなオレを覗き込む鈴木。そんで目の下のクマを心配する鈴木。
やめろ止めてくれ。オレは昨日お前で…お前で…!
「抜いて…しまった…」
それはもう盛大に。
「なんだその報告…って、あ!男で?!マジかおめでとう!これでお前の学園生活はバラ色だな!」
「うるせぇぇぇお前が言うなァァ!」
親指立てておめでとうとか言ってんじゃねーよ!
「何だよケチケチすんなよーオレ偏見ねーし。誰?誰なの?鈴木さんに言ってごらん?この学校のヤツだよな?うちのクラス?」
「………おー」
「マジでか!三神?矢野?御園生?うちのクラスの可愛い系みんなお前に惚れてるもんなーマジで学園生活バラ色じゃん!」
「ウゼーちげーし」
「え、可愛い系じゃねーの?じゃどんなヤツ?」
「……フツーのヤツ」
勝手に盛り上がる鈴木に若干の殺意を覚える。
昨日の夜はあんなに…いや何でもないです。
あれはそう、夢だ夢!
だって例え男でも寄りにもよってこんな平凡、せめて鈴木の言うような可愛い系だろ!せめて!
「フツーって、全く要領を得んな」
まぁ言いたくねーならいいやー、と背を向ける鈴木に、それはそれでムカつくので言葉を重ねる。
「実は笑うと可愛い」
「おお!」
「…とかでもなく」
「おお…」
「実は料理が上手い」
「おお!」
「…とかでもなく」
「おお…」
「特別アタマがいいとか運動が出来る」
「…とかでもなく?」
「とかでもなく」
「…どこが好きなん」
「オレが聞きてーよ」
ハァァーと深いため息をひとつ。
「まぁまぁそう思い悩むなよ。バイになったお祝いにオレが朝飯つくってやっから」
言いながら、キッチンでインスタントのコーンスープを取り出す鈴木。
に、またハァァーと深いため息をひとつ。
「なんだよオレの愛情入りスープは飲めねぇってか」
「飲まねーとは言ってねーし。いるし。たっぷり入れとけし」
「おー任せとけ。ちちんぷいぷい高坂くんがズリネタ相手と上手く行きますよぉ〜に!」
アタマのオカシイおまじないと共にお湯を注ぐズリネタ相手の鈴木クン。
もう、アレだ。分かった。昨日のアレは気の迷いだ。
つーかチンコ触りゃ誰だってイくわ。鈴木がどうとかじゃねーわ。
だってお前コレが好きとか、いや人としては嫌いじゃねーけど、恋愛的な意味で好きとか、どう考えたってねーべ。
☆
で、なんでこうなってんだっけ?
あぁそうか、あのアタマのオカシイおまじないが効いたのか。
「高坂…本当に、オレでいいのかよ…?あの、ず、ズリネタの相手は…」
「それがお前だっつってんだろ。オラ見てみろ」
2人でベッドの上に座って、鈴木がオレのチャック開けてパンツずらして、勃起したチンコがブルンッて出ると顔赤くして恐る恐る触ってきて。
「オレで…こんななってんの…?」
「ここにはお前以外いねーだろが」
「こーさか…うれしー…」
なんて可愛い事言ったかと思うと。
「おっ前…!」
「ん…っ」
なんと口に含みやがった。
ジュボッ、ちゅっ、ズロォォ…ジュプッジュプッ
…すげぇ、鈴木がオレのチンコ咥えてる…。
ほっぺた頬袋みたいに膨らませて、亀頭舌でベロベロして、先っぽに吸い付いて、のど奥まで飲み込んで…。
苦しくて泣いてるくせに、美味しくて堪らないみたいに緩んだ顔して…。
「こ、ひゃか…ひもち…?」
チンコの先走り舐めながらそんな事言うもんだから。
「はぁっ鈴木っ、鈴木っ駄目だ、ぁっ」
「んっ、高坂、…ンン…ッ」
耐えきれずに出してしまった。
す、鈴木の顔にオレの精液が…!
「わ、わりっ」
「んーん…高坂がオレで気持ち良くなってくれて、嬉し…」
トロンとして言う鈴木。
あ。恋に、落ちてる顔。
ってか、ヤバい、鈴木が、エロい。
顔についた精液を指で拭って、それを口に含む鈴木。
イヤラシすぎて鈴木押し倒してすげー勢いでベロちゅー。
オレのキタネー精液の味とかそんなん気にしてられない。
鈴木の唇と舌と口内をむちゃくちゃにする事しか考えらんない。
いや嘘。
クチュクチュいう水音に合わせて鈴木が腰揺らしてオレのそこに押し付けてくるもんだから、鈴木のチンコと穴もむちゃくちゃにする事考えてる。
今日コーンスープ飲んだ後、コッソリ男同士の仕方調べといて良かった。
オレのチンコを鈴木の穴の入り口に上下させて擦り付けて塗りつけて先っぽでグリグリして。
したら鈴木がすげーイイ声で鳴くの。
まだ入れてもないのにオレのチンコ感じてますって声。
ヤバい。慣らしてる余裕とか、ない。
「鈴木っンッ鈴木っ痛いけど我慢、なッ?」
「んッんッ、キて、こーしゃかぁ…っ」
なにコイツ可愛い過ぎるわ。
グニュゥゥゥ…っ!
「ッ、キッツ…ッ!」
「ぁぁ…こーしゃか…入ってぅ…っ!」
「っ、締めんなバカっ!」
「んんっ、な事、たって、こーさかの、すげー…イイぃ…っ!」
「…っのバカっ!」
バチュッグチュッパンパンパンパンッ!
「あぁーッこーさかっこーさかっ激しィッチンコ激しィッ!イイッイイッイイッイイッ」
「っはぁっ、鈴木、ちゅーもすんぞ、オラ口開けろ」
「んんっ!んッちゅっはふ、んっんんっ」
ぷちゅくちゅジュルジュルちゅっちゅーっパンパンパンパンッ!
「っぁ、鈴木っイく!お前ん中でッオレのチンコイくかんなっ」
「はふ、欲しいっ、こーさかのっ、こーさかの中にっ」
パンパンドプドプゥッ!
「んぁぁぁぁぁッ!」
ビクンビクン震えてビュクッて射精した鈴木。
ケツでイくとかお前。
「かわい過ぎるわバァーカ!」
「はっ?高坂ー?どーしたー?」
あまりの可愛さにベッドを叩いて飛び起きたらそこは自分の部屋でした。
となりに鈴木くんはいませんでした。
ドアの向こうのリビングから鈴木くんのビックリした声が聞こえてきました。
とどのつまり。
「夢オチかぁーい!」
あまりの事にセルフツッコミ。
だってお前、夢にまで見たらもうアウトだろ。
しかも内容あんなんとかアウトだろ。
言い訳のしようもねーだろ。
ひとり身悶えてると、外からドアをノックする鈴木。
「オイ高坂…?大丈夫か?」
オレの二度の奇声に戸惑うような鈴木の声。
この…、お前が心配なんかすんなバカ!
「オレと落ちる気もないくせに!」
「はぁ?」
どうやら知らない内に落とされていたようです。
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