七日一話 | ナノ
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無駄な集客力


(2/3)


俺の名前は八代浩一、至って普通の高校3年生。好きなものは肉、嫌いなものは道端に落ちてるうんこにたかるハエ。顔はまあ別に普通やけど姉がいるせいかおかげか、女の扱いにはそれなりに余裕があるらしく全くモテないっちゅーわけやない。3年に1回くらいのペースで愛の告白を受けるのでその度に何も考えずほいほい了承してたら元カノは3人とかそこら、ちなみに童貞は中2に夏に卒業した。
部活はボランティア部(月に一回顔を出す程度)、委員会は保健委員に所属しとる。
今日は週に一度の保健委員のお仕事の日なので現在俺は保健室で備品の整理をしているところである。


「八代、こっちの補充必要なモンは絆創膏と湿布やな。あっ、あと包帯やわ」
「おっけー。あ、白石―シーツあと何枚ストックあるか数えてくれへん?」
「あと7枚やからまだ大丈夫やで、」
「おお、さすが完璧マンやな。」

今週担当が被ったのは隣のクラスの白石やった。顔もいいし何でもできる、無駄のない男。白石と同じ日に当番になると大体面倒ごとは白石が先回りして終わらせているからすんごく楽だし助かるんやけど、如何せん顔がいい。せやから客が多い。普段の倍は保健室利用者が増えるのがなんちゅーかむかつくんだよなあ。

「白石、あとは俺やっとくから部活行ってええで」
「いや一人じゃ大変やろ。気にせんでええからって何回言わすねん」

白石は手に持っていた救急箱を棚へ片しながら呆れ交じりにそう言う。以前にも、というか毎回、白石と当番の日が被るたびにこの話をしているのだからいい加減理解せえよ、と言いたい白石の気持ちもわかる。俺かてこんな話何度もしたないねんけど、でも一番面倒な備品管理の業務ももう終わった事だし、あとは保健室で適当に待機するくらいだ。一応二人一組で当番は割り振られているが、それでもそう何人もけが人が運び込まれてくるのは稀だし、全国を狙うテニス部の部長をこんな場所に引き留めておくのはなんていうか気が引ける。それに、

「白石おるとけが人倍増するから正直いない方が楽やねんけど」

いい加減このやり取りを毎度交わすのも俺も面倒なので包み隠さず本音を言えば白石はバツが悪そうな顔をしてあー、だとかんーだとか声を漏らした。本人も薄々感づいてはいたのだろうが、今までこう割とストレートに言われることはあまりなかったのだろうなと思う。まあ、白石に罪はない(それもそれでまたむかつく話だ)が事実そういった不利益が生じているのでもうこればっかしはしょうがない。すまん白石、さっさとどっか行ってくれ。

「今日は財前に任せとるから今さら行かれへんわ、ボランティアやと思ってここに置かせて、なあボランティア部……」
「ボランティア部馬鹿にしとるやろ。ってか財前って後輩やったっけ?なに、部長練習?」
「せやねん、そろそろ世代交代があるからな」
「ふーん。まあええけど、保健室のベッドは三つやからな。それ全部埋まった時点でお前には強制的に部活に行ってもらうわ」

「華麗にさばいて見せるわ」そう言ってキメ顔をする白石にお前のそのうざったらしい顔が苦痛に歪む時が楽しみだなとひっそりと思う。

そんな話をしたわずか数分後、保健室の扉は開かれ、少し顔を赤く染めて、俺なんて存在していないかのように白石ばかりをチラチラ見やる女児生徒がやって来た。完全に白石の客である。そしてそれを皮切りにまるで学内で人災事故でも起こったのではないかというほどのスピードで保健室のベッドやソファ、イスが埋まっていくことになるのだが、その時には俺には既に白石の苦痛に歪んだ顔を拝む暇も、白石を保健室から追い出す余裕も無くなっていたのだが、ほんまにあのクソ白石のモテ具合どうにかならんの?あーむかつくやっちゃな!


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