天体逃避行 | ナノ
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不夜城エデン
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・書きたいところだけ。
・たこさん寮の3人とそれぞれちゅーをしているだけ。





【フロイドの場合】

「くち開けて。べーってして」

フロイド先輩の言われるがままに、おずおずとくちを開ける。確かくちを開ける行為は、ウツボの求愛行動だとかなんだとか、本で読んだ覚えがあるけれど、そういうことなのだろうか。なんて、分からないふりをする。

「ん、イイコ。噛んじゃ駄目だからねぇ」

そんなこちらの逡巡もきっとこのひとの前では無意味なのだ。満足そうに微笑んだフロイド先輩のおおきな手が頬に添えられたかと思えば、あっという間にくちが、フロイド先輩のそれで塞がれる。ぬるりとした舌が絡みついて、時折音をたてながら、ゆっくりと、口内を、食べられてゆく。

「……、ん、っふ、……ぁ、」

空気を求めて逃げようとすると、隙間から自分の声じゃないような甘い息が漏れる。頭の奥が痺れるようで、自分が自分ではなくなっていくようで。呼吸がままならなくなった限界ぎりぎりで解放される。はふはふと浅く短く呼吸をする自分は、まるで溺れかけたようで。それはそれは滑稽に見えるだろう。

「……ふふ、小エビちゃん、かーわいい」

耳元で囁くフロイド先輩の、ちょっと低めのざらついた声。反射のように背筋に甘い痺れがぞわぞわと駆け抜ける。荒い吐息も、先輩のか自分のかわからないくらいに混ざりあった唾液も何もかもがいやらしく見える。フロイド先輩の頬も赤みがさして、なんともいえない艶っぽさ。くらくらする。

「もーちょっと、……もっと、もっと」

じっくり味わって。もっと深く、もっと隅々まで。

ぜんぶぜんぶ、先輩にあげる。



***




【アズールの場合】

ソファに優しく下ろされる。アズール先輩の切れ長の目が細められる。値踏みされているようで、その目はあまり好きじゃない。

「……、おや、どうしました?」

そんな自分の気持ちの揺れすらも見透かされる。薄い唇が緩やかに弧を描いて、くすくすと笑みが漏れるのが聞こえる。先輩はとても楽しそうだ。

「そんなに不安がらなくとも大丈夫ですよ、この僕に全てを委ねてくれれば良いんですから……ね、監督生さん?」

だんだんとアズール先輩の顔が近づいてくる。条件反射のように逃げようとするけれど、それはまるでソファに押し倒されているようでしかなく……、諦めるしかないのだ。肘置きの部分だろうか。後頭部に柔らかい感触がして、逃げ場はないと教えてくれる。いや、本気で逃げようと思えばたぶん逃げられるのだろう。ただ、自分にはもうその気はないのだ。きっと。

「……なまえさん、」


なんで先輩はそんなに泣きそうな顔なのだろう?思わずアズール先輩の頬に触れると、先輩は驚いたような顔をして、そして愛おしそうにその手を取って、手のひらにキスをした。

「貴方という人は……、全く……」

さっきとは違う、困ったような笑顔が向けられて、その幼さに心臓がどきっと跳ねる。押し倒されているこっちの心があちこちに跳ね回っていることなんて、アズール先輩は知っているのか知らないのか。

唇に優しく、触れるだけのくちづけがアズール先輩からたくさん降ってくる。ちゅ、ちゅ、と何度も唇を啄まれるのが、くすぐったくて、いとおしくて。思わず笑ってしまう。

「、っは、ふ、……ふふ、っ、ふ」

けれど、そんな可愛らしいキスも、いつの間にか深くなる。そうなればもう、後はされるがまま、先輩のペースに身を委ねる。大丈夫だよ、と返事をするように、先輩をきゅっと抱きしめて、あとは、溺れるだけ。



***



【ジェイドの場合】

まず、おでこが触れる。ジェイド先輩の肌はさすがというかなんというか、少しひんやりしている。こっちはこんなにもどきどきしているのに。ジェイド先輩はいつものように、にこにこと笑っている。

「緊張しているのですね?」

次に、鼻先が触れる。先輩は何もかもお見通しだ。

「ふふ、そんなに固くならなくても良いでしょうに」

心の準備がまだ、と言いかけた唇はあっという間にジェイド先輩の唇で蓋をされる。軽く触れるだけのやさしいキス。そしあっという間に離れてゆくジェイド先輩。……ああ、先輩はずるいひとだ。

「……、おや?どうしました?」

じっと見つめていると、先輩はにこりと笑いかけてくれる。その笑顔が、今はとても胡散臭い。

「何か言いたげなようですが……ハッキリと示してくれないと、こちらも分かりかねますので」

先輩は全てお見通しなのだ。こっちの気持ちも、まだどきどきしている心臓も、持て余しているこの熱も。それを、分かっていて楽しんでいる。全くずるい先輩なのだ。

だから、言葉の代わりにこちらから先輩にキスをする。もっと、もっととねだるように。

「……、よくできました」

離れかけた後頭部に先輩の手が伸びて、有無を言わさず引き寄せられる。先程の微笑みとは打って変わった、くちの端がいやらしく歪んでいる。ぞくりと背筋を這うこの感覚は、恐さじゃない。

「良い子には、ご褒美を差し上げましょうね……」

そして訪れる。甘い甘い時間の始まりがうれしくて、震えているのだ。たぶん。





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とりとめもなく。