薔 薇 色 の 地 獄 。 | ナノ
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ゆらゆら




「…そろそろ帰りますか。
お姫様も眠そうだしね」

バー・ルパンでのひとときのあと。
仕事の疲れもあったのか、
なまえはひとり、うとうとと船をこいでいた。


「さ、なまえ、帰ろう?」
「、ん、…うん」
「明日は?」
「…休み、…」


ふらふらとなまえの頭が揺れる。
どこかにぶつけやしないか、と安吾は内心焦っていた。

「私が車を手配しておこう。
…部屋まで送っていきたいところだが、この後予定があってね」

残念そうな顔をする太宰。

「僕も…明日が早いので、すみません」


そして、安吾もルパンをあとにして。
ふらふらと眠そうにするなまえを支え、
織田作は太宰の手配したという車を待っている。


「なまえ、大丈夫か」
「うん、うん…、うん」
「…遅くまで付き合わせて、すまなかったな」
「いいよ、…だいじょうぶだ…」

半分夢の中のように、あいまいな返事しか返ってこない。
がくん、となまえの肩が揺れ、足がもつれそうになる。

「、っと」

転んでけがをされるよりはいい。
織田作はすまん、と小さく断りを入れ、
腕を引き寄せてしっかりと抱きこんだ。


「…まったく」

ためいきをひとつ。

「俺の気持ちをどこまで乱せば気が済むんだ、お前は」


「…すきだ、」


そう呟いても、夢うつつのなまえには聞こえていない。
けれど、

「…ふふ」

何か良い夢を見ているのか。
嬉しそうに上がる口角を見ると、

織田作は、それだけでいいか、と苦笑した。

「すきだ」


そうして、聞こえていないことをいいことに、
車がつくまで、何度となく愛をささやいていた。




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ツイッター診断メーカーより。

『眠そうな相手の腕を引いて自分の方へ寄っ掛からせたとき、
何度も小声で「好き」と囁きました。』



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