薔 薇 色 の 地 獄 。 | ナノ
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夕暮れ歩き




依頼された事件をあっさりと解決した、帰り道。



「いやァ、なまえさんの王様はやっぱり強いですねえ」
「銃弾にびくもとしないですもんね…。
人質になってた方々が無傷でよかったです」

「ありがとう。谷崎くんと敦くんのサポートもあったからな。
…王様もありがとう。お疲れ様」

背後にそっとついてきていた王様に、
なまえが振り返り、声をかける。
王様は当然、とでも言うように頷いた。



「…なまえ」


三人の後ろ。

少し離れて歩いていた太宰が、呼んだ。


「どうした?」



少し立ち止まって、追い付くのを待った。


「ねえ、なまえ、…なまえは今、楽しんでる?」
「…突然どうしたんだ」

「なまえは…後悔はしていないのかな、と思って。
私が、私の我儘で、なまえを振り回して、
…なまえはもっと自由でもいいと思っているんだ。
だから、なまえは、」
「…それ以上は言ってくれるな、太宰さん」

遮った。

「わたしが、わたしの意思で貴方に着いていってるんだよ。
それに、『太宰を頼む』と言われているしな」

「…なまえ、」

「貴方が引け目を感じることはないよ。
…その前に、本当に引け目を感じているかどうかも怪しいんだがな」
「ひどいなあ、なまえ、年々私の扱いがひどくなっていってやしないかい?」
「太宰さんがもう少し甲斐性があれば、話は別だな」


「なまえ、…君はそこまで、私のことを…」

「この間、見知らぬ女性に思い切り頬をひっぱたかれてね。
焦点の定まらない目で『私の太宰さんに手を出さないで!』と怒鳴られてな」

「、」

太宰の顔色がさっと青くなった。
谷崎と中島も、不思議そうに振り返った。


「なまえ、それは、あの…」

「国木田さんも一緒だったのだが、
彼にも心当たりが無くてな、
しかも、それより前に声をかけられた女性とはまた別の女性で、」

「…なまえ、あの、………、?」

「おまけに王様がその事に咄嗟に反応できなかったと、その晩はひどく落ち込んでしまって」

「…、なまえ…、それは、何と言うか…」






「太宰さんは自由だな……」

ふっ、と微笑むと。
なまえは固まった太宰を置いてすたすたと歩き出した。

「なまえ!待っておくれなまえ!!
私は、愛しているのはなまえだけなのだよ!?
本当だよ!それはあの、事件の情報を得るためにだね!?」

急に早足になり太宰から遠ざかるなまえに、
珍しく慌てている太宰。

不思議な光景に、谷崎と中島が目を白黒させている。

「谷崎くん、敦くん、太宰さんは気にせず帰るぞ」

「…なまえサン、怒ってる?」
「まさか。あの人の女癖の悪さは昔からだ。
それはいいんだが、理不尽に殴られたことを思い出して少し怒りが。
王様にも要らん心配をさせてしまったし、
意味もなく落ち込ませてしまったしな」
「…なまえさん、甘いもの食べて帰りましょう!ね、谷崎さん!!」
「そうだね!!あの、この近くにケーキ屋があるンですよ!ね!行きましょう!」

「…そうだな、」

なまえは、振り返り、太宰を見る。


「太宰さんの奢りで、ならな」

「……なまえ!!」

「急に抱きつくな!こら!」



夕暮れ時。

ゆるく、影が伸びてゆく。


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ツイッター診断メーカーより。
「帰り道、君と肩を並べて」


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