――そのあと直ぐに着いた駅で、降りる人の動きに流されるように春樹は逃げ出した。
普段は使用しない駅の地理に焦りながら、改札を探して必死に駆ける。
人がいない場所、人混みから離れた場所。
混乱したままの頭の中でそう繰り返し、混雑する改札を抜ける。
だが、駅から離れて直ぐに腕を掴まれた。

( …え…っ?! )

掴まれた勢いのまま振り向けば、ギラギラとした目つきの男がいた。
電車の中でさんざん春樹を弄んだ、その男だ。
声もなく硬直した彼の手を引き、ビルとビルの暗い狭間に春樹を連れ込んでしまう。
路地裏とも呼べない隙間は、左右の壁に配管や室外機があることで余計に狭い。
人気など全くのない場所でもあった。


「…っや、何……やめろってば…っ!」

「良い反応してたくせに嫌がんなよ。ほら、もっと楽しいことしようぜ?」


手早く春樹のベルトを外し、ズボンと濡れた下着を下げると、精液で汚れた柔らかなペニスを口に咥えてしまった。
突き抜けるように広がった快感。
熱く、柔らかなねっとりとした肉が絡みつき、状況も忘れてペニスは直ぐに勃起した。

ジュルジュル じゅぼ
ちゅぱっ レロレロ… ちゅうぅ

たまらず春樹は背中を丸め、跪いてしゃぶってくる男の肩と背に縋りつく。
同じ男だからこそイイところが分かるからか、春樹は首を振りながら、それでも裏腹な体は正直に腰を揺らしていた。


「ふ…んぅ…っ、ん、あ…はぁ…ッああ…っ、…あ…っ、――…え…?」


だから、急にフェラチオを止められたとき、春樹はつい、強請るように男を見つめてしまっていた。
唾液で濡れた唇をベロリと舐めて、立ち上がった男がポケットから小振りのボトルを取り出す。
重たげに垂れる粘着いた液体を手のひらに落としながら、――男は笑った。


−−−−−−−−−−−−−


「っぅ…ん…、ふ、ぁ…んー…ッ」


パチュッ! パチュッ! パチュッ!
ずちゅ、ぢゅぼ、ヂュボッ

肌が打ち合う乾いた音と、粘着いたぬかるみを掻き回す湿った音。
いやらしく生々しいセックスの音がひっきりなしに鳴り、こらえきれない春樹の声がドロドロと混ざりあう。
埃まみれの壁に胸と頬をつけ、下半身を背後の男に突き出すように向け、打ち付けられるペニスを後孔でしゃぶっている。
春樹の腰を両手で捕まえて押さえ込み、男はいきり立ったペニスを突き刺し、掻き混ぜ、ピストンを繰り返した。


「んっ、は、んう…っ、ぅ、はぁ…は…あ…ッ、んあ…っ、〜〜…あぁ…ッ」


壁に縋りついた手の甲や手首に唇を押し当て、唾液でベタベタにしながら、春樹は喘ぎそうになる声を堪えていた。
それでも時折あがる嬌声は女のように快楽にとろけて濡れている。
自分の声を否が応でも耳が拾い、春樹はイヤイヤと首を振りながら、キュウゥ…と後孔を締め付けた。
人気がない夜とはいえ、こんな場所で男にレイプされて…、興奮している自分に頭がおかしくなるかと思った。

暴かれた後ろで感じている。

それでも不慣れな体は快感を上手に昇華できず、内部だけへの刺激ではイケなかった。
行き場をなくして渦巻いている衝動に耐えきれず、春樹が自分のペニスを掴んで扱きだした。
肌が粟立つように震え、ビシャ、と精液を壁に撒き散らす。


「は、はっ、う…っ、俺も、イキそ…ッ、あー、イク、出る出る…っ、あ〜…」

「あぅ…っ、や、なか…、も、…っぃや、いやっ、あっあっ あ あ…ッ」


春樹の腰を指が食い込むほど掴んで引き寄せ、激しいピストンを繰り返す。
ばぢゅ…っ、と粘着いた音を立てて捻り込まれた深い場所で……熱い飛沫が内壁を打った。


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