鼻にかかった甘さで喘ぎながら身悶え、なめらかな背中がしなり、まるで犯されることを悦んでいるようだった。
そうと知れれば男は動きを暴力的なものにし、腫れたペニスを深々と捻り込むように何度も叩きつけた。
肉筒の奥をゴチュゴチュと穿ち、続く窄まりさえ亀頭を押しつけ、ぐぽんっ、ぐぽんっ、と犯される。


「い、やぁ……っ! いや、いや、あっあっ、あー…あぁーんっ、だ、め…ぇ…ッ」

「あ、はぁ、たまらない…っ、すごい、な、これ…は…っ」

「っひ…―――!!」


声もなく喉をそらして仰向いた春樹が、勢い良く精液を撒き散らした。
断続的にこぼしながら「あ、あ、あ…」と理性のない、いやらしい声で泣きすする。
粘膜が柔らかく包み込んで収縮し、まるで舌を絡めるようにしゃぶってくる。
歯を噛みしめ、荒い息を震わせ、男は滅茶苦茶に腰を叩き付けた。
穿つたびに男の腰骨が春樹の尻に沈む。
は、は、と獣じみた呼吸。
泣き濡れた春樹のいやらしい声に誘われるまま、男はラストスパートを駆け抜け…。


「っう……、うぅ、…あ…っ」


ぶるりと震える。
強く腰を押し付けられ、薄いラテックスの中へと注がれる精液。

( …終わった…? )

ひくひくと体を快楽の余韻で震わせながら、春樹は瞳を閉じて溜め息を吐いた。
男はコンドームの口も縛らずベチャリと床に放り捨てる。
射精しても硬度を失わなかったペニスに、新しいパッケージから取り出したコンドームをつけて……。
春樹は再び刺し貫かれてしまった。


「っあぁん…! いや…っあ…あーッ」


ビク、ビク、と震える少年の体を押さえ込み、何度も淫らなピストンを繰り返す。


「あっあっ、いや… いや… ぁあ、あ…ァあー…ぁん…っ、誰か、誰かぁ…っ」

「はぁ、はぁ、ほら…気持ちいいんでしょ…? 俺のチンコ気持ちいいよね…? はぁ、ああ、ああ…っ」


春樹の身体を押さえ込むと、いやらしく咥えてくる雌(おんな)のそこを掻き回した。
下半身を包む快感を追いかけ、男は腕の中の体を思うままに犯した。
そこに罪悪感も良心もない。

薄暗いトイレに響く、春樹の涙に濡れたとろけた声。
淫らなセックスの音。
ガタガタと揺れて軋んでいた扉は、やがてピタリと止まった。
男のうなり声。
極まった少年の短い間悲鳴。
気の抜けた満足げな溜め息とともに、キシ…、キシ…、と小さく余韻に揺れる扉。

レイプの現場となったトイレの個室から、男のボソボソとした声が聞こえてくる。
トイレットペーパーのカラカラと回る音。
衣服を身繕いしている間も、男は何事かと言い訳の言葉を口にしていた。
鍵が開けられ、男が出てくる。


「いいか、誘ったのは、君だからな…これは“合意”だ」


便座にぐったりと座り込んでいる春樹に言い捨て、男はそのまま逃げるようにソコから離れていってしまった。

――男が出て行って直ぐに、陵辱の匂いがこもるソコへやってきた者がいた。

偶然、春樹の声を聞き止めた巡回中の警察官だ。
レイプ現場と知って無線で通報するために近付いた彼は、脳を揺さぶるような春樹の嬌声に、そのまま声を潜めて盗み聞きしてしまった。
トイレの壁の向こうから香る、発情したいやらしい匂い。
彼の中にあった職務も正義感も剥げ落ち、野蛮な目つきで獣のように喉を鳴らす。


「っあ…おまわりさ…、たす、助けて…」


快楽の嵐から解放された春樹の腰は抜け、立つことも出来ずにいた。
見上げた先にあった男の顔に、春樹は安堵した心を諦めに変えた。


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