広いバスタブの中で、春樹は梶原の腕にしまわれた。
背中を預けるようにもたれ、頬を彼の首筋に寄せて、素肌を触れあわせる。
濡れた肌の張り付くような感覚が、背中から伝わってくる鼓動が、時おり肩に湯をかけてくれる掌が。
胸のざわめきを呼ぶのに、反面、心地よさに満たされてリラックスしてしまう。

ちゃぷ…

顎と首筋を覆った掌に促されるまま上向けば、馴染んだ唇が優しく触れてきた。
啄むような口付け。
うっすらと唇を開けば、濡れた舌が差し込まれる。
春樹は湯から腕を持ち上げて、応えるように梶原の肩に手を乗せた。


「ん… ぁふ…ん… ちゅ… んぅ…」

「…ふ……、…春樹…」

「ぁ…ん…っん…、んっ…」


優しく撫でるような舌触りが、徐々にセクシャルなものに変わっていく。
不埒な指先が胸元を這い、ツンと固くなっていた乳首を押し潰される。
素直に反応する体が震え、パシャッ、とお湯が跳ね上がった。

(…ここで…、するのかな…?)

お尻や腰に当たる硬い感覚に、今までのセックスを思い出して、背筋が粟立った。
触られてもいないのに勃ち上がった自分のペニスが、お湯の中で期待に震えている。
唇に、ふ、と吐息があたる。
春樹の反応に気を良くした梶原が、茹だるような熱を含んだ笑みを浮かべた。
羞恥心に涙がにじむ。
すっかり色気付いてしまった体が恥ずかしい。


「おいで、春樹」

「ん…、はい…」


春樹の腰を引き寄せるように抱き上げると、梶原はバスタブの縁に腰掛けた。
手を伸ばしてラックからボトルを取る。
一緒に入浴する時にセックスが始まる事もあるので、いつからかここに置くようになったローションだ。
キュポッ、と蓋が外された音を聞きながら、春樹は男の首筋に抱き付いた。

くち…、くち… クチュ…、
ぐちゅ…っ…ぢゅ

抱かれ慣れてしまった体は、そう時間をかけずとも解れていく。
梶原の長い指が一本、ほどなくして二本、そして三本まとめて貪欲に咥え込む。

(こんな、エッチな体、……嫌われたらどうしよう…)

うぶさを失くした淫らな体を、梶原はどう思っているのだろうか。
不安になって息を飲み込めば、直ぐに気付いた男によって、宥めるように唇を寄せられた。
何も考えられなくされてしまう。


「っあ…、あ、あっ、…あぁ…っ、ん、…あぁ…ん…っ」


バスルームにイヤらしい音が響く。
春樹のペニスはすっかり勃ちあがっていて、トロトロと先走りを垂らしていた。


「…春樹、もう中に入っても良い…?」

「んっ、…ぁ…、はい…っ…」

「苦しかったらちゃんと言うんだぞ」


浴室の壁に背中を押し付け、広げた足の間に体を割り込ませ、腕の中に囲い込む。
張りつめたペニスを擦り付けると、ゆっくりと内側へ亀頭を打ち込んだ。

(…っあ…!)

堅く熱い塊に拡げられるその感覚に、春樹はぶるぶると震えた。
痛みはない。
苦しくもない。
押し拡げられて腹の中を埋める質量が、たまらなく気持ち良くて、気持ち良すぎて、怖くなる。


「……春樹…」

「っ…、だ、大丈夫です……このまま…」


梶原の首にぎゅっと抱きすがり、春樹は熱く湿った吐息を男の唇にぶつけた。
舌が淫らに絡まる。
イヤらしく腰が揺らめき、春樹の蠢く直腸を犯した。

パチパチと目蓋の裏が点滅する。
呼吸が上擦る。


「梶原さ…っあ…、気持ちぃ……、気持ちいい…」


男の太い首筋にすがり付きながら、濡れた甘い声で啜り泣く。
どこもかしこも性感帯にされてしまった春樹は、堪えることも抗うことも出来ないまま、嬌声をあげた。
素肌に頬を擦り寄せ、腰を揺らし、梶原の腹筋にペニスを押し付けてしまう。


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