イヤホンから聞こえてくる声と音から、2人の関係が察せられる。
思っていた通り、恋人ではない。
肉欲に夢中になって溺れる、貞操感もなければ節操もない、盛りのついた男と女。


『姫子のセックス好きって、やばくね?』

『ヤリチンが何言ってるのよ…。……もう、いいから早くちょうだい…』

『なあ、ゴム着けなきゃダメ? …いてっ、分かった、分かった…ちぇっ、ちゃんと着けるって』


≪ ガサ…カサ…、…ビッ… ≫
≪ ……… ≫
≪ …ギシ…、…ギ…ッ… ≫

≪ …ギシィ…っ… ≫


『………あー……、めちゃくちゃ濡れてる…気持ちいいー…』

『あっ…あっ…、くる、ちんぽ入ってくる…… あぁ…ん…、あー…あん…っ』


歓喜に染まったいやらしい女の声。
我慢ならない。
急いで愛用のオナホールを手にとって、ローションを溢れんばかりに注いだ。
喘ぎ声を聞きながら亀頭を押し当て、グニュリ、と根元まで納めてしまう。
ゾワゾワと背中を駆け抜けていく快感。
思わず緩んだ口からよだれが出た。
耳元では女がエロい声を上げて、埋め込まれたチンコに悶えている。


『あっ、あっ、すごい…ちんぽ硬いのたまんない…っ あーん、ああっ…、いい、気持ちいい…っ』

『姫子は奥をグリグリされるの好きだったよな…、それともコツコツされるのが良いんだっけ?』

『ど、どっちも…どっちも好きぃ…っ、好きだから…っ』


両手でオナホールを掴んで固定して、男は腰を打ち付けるように振った。
頭の中で、女を犯す男と成り代わる。
柔らかくて狭い膣はぬちゃぬちゃと粘付いた音をたてて、勃起したチンコを咥え込んで離さない。

(そんなにチンコが好きか…!)

股間を打ち付ける。
奥にゴリゴリと亀頭を擦り付け、捻り込み、そしてピストンを繰り返した。
盗聴器から聞こえる卑猥な音。
下品でいやらしい声。
清楚で可憐な彼女の顔は、きっと、AV女優のように卑猥に歪み、泣いて喜んでいることだろう。


『あっ、あっ、カリすごいぃ…っ、めくれちゃうの…、はぁっ…あー…っ、良い、気持ちいい…っ、好き、好き、ちんぽ好きっ』

『姫子が好きなのはチンコだけかよ〜…、どうしようもねぇビッチめ、……ほら、気持ちいいか?』

『気持ち、い、気持ちいい…っ、あぁっ、あ、あ〜…っ、いく、いく、あー……だめ、いくぅ…っ』


女の切羽詰まった高い声に合わせて腰を振り、おもいっきり射精した。
全力疾走したように、心臓がバクバクと激しく脈打っている。
呼吸が荒くなり、汗が吹き出す。
耳の奥では男が射精する様子が聞き取れ、オナホールをゆるゆると上下に動かしながら、余韻に浸った。


『っあぁん……、は、あ…っ、はぁっ、んん…』

『うっ…、っ、……あー…、最高、たまんねぇ…』


≪ …ギシ…ギシ… ≫
≪ ギッ、…… ≫


『…やべ…、結構激しく動いたからゴム取れそう…。姫子、抜くぞ』

『は、はぁっ、…ん…うん…っ』


≪ ギシ…、…、… ≫
≪ …パチン…、…ガサ…… ≫


セックスが終わったのを聞き取って、こちらもつられるように深い溜め息をはいた。
これから2人はどうするのだろうか。
ピロートーク?
それでも風呂にいくのか?
オナホールからチンコを引き抜こうとしたとき、盗聴器から聞こえてきた声に、その動きを止めた。


『あー…チンコ萎えねぇ。…なあ…姫子、やっぱ生でヤっていい?』


射精したばかりなのに、ググっ、と血が集まってチンコが膨れる。
口許が思わず歪み、小さく笑い声がこぼれ落ちていった。
こいつら、まさか。
それこそAV(作り物)のような、無責任なセックスをしようとしているのか。


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