思いついた可能性に血の気が引いて、全身が冷たくなっていく。
自分の置かれた状況を理解してしまう。
強張る手足が恐怖で強張り、震え、心臓は嫌な鼓動で早鐘を打った。
チャリリ…
猿轡をされて震え上がる姫子の、その震える細い両手首に、手錠が嵌められてしまった。
個室の扉はしまり鍵もかけられる。
狭い個室に犯罪者と2人。
姫子を閉めた扉へと押し付けるように、背後の存在はグッと身を寄せてきた。
「お巡りさんのくせに、背後がら空きとか、警戒心無さすぎでしょ」
「っうぅ…、ンンぅ、うー…ッ!」
「女って本当にチョロいよなぁ、こっちとしてはラッキーだけどさ」
嗤うような若い男の声。
押し付けられながら視線を背後へ何とかやれば、自分を拘束したのはやはり、先程の不審者だった。
――嵌められた!
最初からこの男の罠だったのだ。
あからさまな怪しい姿で目につくようにして、警官の前で不振な動きをして、わざと離れて様子を窺っていたのだろう。
連絡を取った様子のない新人の女。
用意周到なこの男から、おそらく逃げることも出来ない。
「婦警さんなら知ってる? 女の子達がレイプされてるの。あれ、俺が犯人ね」
「!!」
「あいつらの仲間入りさせてやるよ。被害者になるのも良い勉強になるだろ?」
――とりあえず“終わる”まで大人しくしてなよ。暴れたりしたら殺しちゃうかも。
嗤いながら耳に吹き込んできた恐ろしい言葉に、姫子はますます恐怖で身を縮める。
いくら警察官学校で研修をうけても、エリートコースにいるような、キャリア組とは全く違う。
教えられてきた実践も応用も出来ないほど、姫子はパニックに陥っていた。
(…怖い…こわい…っ)
恐怖が女の心を侵食する。
どんな扱いをされるか分からない。
…男の言う通り、騒がず、暴れず、やり過ごすしかなかった。
「聞き分けの良い女(こ)は好きだよ。優しくしてやるからな」
抵抗を見せない姫子を確認してから、手錠で繋がれた手を引き、蓋の閉まった便座へ座らせる。
姫子の目の前で仁王立ち、ベルトを外し、ズボンの前をくつろげ、…男はペニスを取り出した。
(…っ、き、気持ち悪い…っ!)
恐怖と屈辱的、嫌悪感。
とてつもない辱しめに顔を歪める姫子を見下ろしながら、男は握ったペニスを上下に扱き始めた。
マスターベーションのネタにされていることに堪えられず、姫子は涙の滲む目をつぶって顔を背けた。
「こっち見ろよ。殺すぞ」
トーンの落ちた叩き付けるような低い声に、ビクリと肩が跳ねる。
恐る恐る顔を戻せば、グロテスクな男性器が嫌でも目に入り、ますます涙が浮かんだ。
シュ… シュ… ぬる …にちゃ…
クチュ クチュ ヌチャ、ニチュッ
先端からどんどん汁が溢れてくる。
濡れた先端を弄くり、粘液を広げるように竿へ塗りたくり、扱く手を早める。
直ぐ近くで聞こえてくる擦る音が、徐々に粘り気のある音をたてていった。
ぷん、と漂う匂いが鼻をつく。
(こんな音、聞きたくない…っ、こんなの見たくないっ)
それでもこの男が恐ろしいから、目を瞑ることもできず、見つめ続けるしかない。
表情を歪めた姫子を見下ろしながら、男はますます手を早め、己の快楽を追っていった。
はぁっ、は、は、…っは…
男の呼吸が上擦るように短くなる。
ゆらゆらと腰が揺れ、膨れ上がったペニスには血管が浮き出ている。
汁を溢れ出している先端の鈴口が、はく、はく、と収縮を繰り返していた。
唐突に下半身が強張るように硬直し、一瞬の間をおいて、――男は射精した。
ビュルルル…ッ!
[
≪ 前のページ‖
次のページ ≫]
≪back