……姫子は“うっかり”、鍵もチェーンも掛け忘れてしまった。

靴を脱いでリビングに向かう。
コートを脱いで背もたれへ掛ける。
鞄をローテブルへ置き、少し考えてから、いつも通りにカーテンを開けた。

玄関で小さな軋む音がした。

(…来た…、入って来た…!)

無防備を装って用意してみたチャンスに、男は引っ掛かってくれたようだ。
心臓が期待と緊張と興奮で高鳴って脈打ち、両足の狭間でじわりと愛液が染み出たのが分かる。
頬が火照って、息が上擦った。

姫子はソファに座ると、両足から邪魔なストッキングを抜き取ってしまう。
ショーツさえ脱いでカーペットへ落としてしまう。
疼いている恥部へ、グ、と指を突き立てれば、いやらしいほど濡れそぼっていた。


「はぁ…っ、あ…あぁん…っ、あん…っ、あ、あ、気持ちいい…気持ちいい…っ」


姫子は閉めきらなかった扉に背中を向け、“オナニーに夢中になっている女”になる。
大きな釣り針を垂らして餌を撒いた。
股を濡らしたいやらしい女。
欲望をもて余した男を待つ。

――そして…。

ガバ…ッ!


「…っんん?!」


背後から口を大きな掌でふさがれ、姫子は“侵入者”によって羽交い締めにされる。
見知らぬ人間の気配、存在。
けれど視線は知っている。
予測していたとはいえ、やはり反射的に体が強張って、姫子は身を竦めてしまった。


「っんんぅ……、っ、…はぁ…、止めてっ、なにするの…ッ」


わざとらしくならないよう、それでも暴力は振るわれないよう、姫子は抵抗してみせた。
突然のことに怯え、震え、泣いて怖がり、身をよじって嫌がる。
膣は愛液が溢れて濡れているのに。
侵入者は非力な姫子を押さえ込み、ソファへと俯せにしてのし掛かってくる。

(押さえつけてくる指、力が強くて、…食い込む感じ…。 どうしよう…、私、すごく興奮しちゃってる…!)

姫子の背中を押さえ付けたまま、片手をスカートの中へ潜り込ませてくる。
一人遊びに夢中になっていた女の股ぐらは、ショーツもなく、あまりにも無防備だ。


「いや……っ」


男の無骨な指がヌルリと滑る。
膣はたっぷりと濡れていて、柔らかくとろけ、馴染ませる手間もない。
すぐに指を抜いた男は、姫子を押さえつけたまま、片手でズボンの前をゴソゴソと緩めている。
背後の様子を伺い知ることは出来ない。
それが尚更、姫子を高揚させた。

フーッ、フーッ、

興奮した男の獣じみた鼻息。
姫子のお尻に、ぬるぬると“何か”が擦り付けられた。
…“何か”だなんて白々しい。

勃起したペニスが姫子を犯そうと、濡れた入り口を探っているのだ。
ニュル、ニュル、と割れ目を滑る。
すぐに膣口に亀頭が押し付けられて、襞を掻き分け、内壁を広げて入ってくる。


「ひぃ…っ! やめてっ、だめ、だめ、…っ……んあぁ…っ」


男の股間が姫子の尻に密着した。
尻たぶに硬い陰毛が擦り付けられる。
膣内にいっぱいに捻り込まれたペニスに、頬が熱くなり、息が乱れ、ぶるぶると体が震える。
男は性急に腰を振って、ペニスを打ち込んできた。

パチュッ、パチュッ、ちゅぽっ
ぬちゃぬちゅ、ぬちゅ、ぐちゅっ、

愛液が擦られて掻き混ぜられて、いやらしい水音と破裂音を鳴らした。
欲望に忠実な乱暴なピストン。
体ごと揺さぶられて、聞いたことのない音でソファが軋み、姫子は俯いたまま瞳を潤ませた。

(見られるのも好きだけど、私、乱暴にされちゃうのも好きなんだ…)

好き勝手に打ち付けられているのに、気持ちよくて堪らない。
こんな頭がおかしくなるような快感は初めてだった。


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