腰を強く押し付けて姫子に覆い被さった男が、間近で女を見下ろしながら笑う。
獣のような欲望に染まった眼差し。
征服される。食べ尽くされてしまう。
たまらなくなって姫子が舌をつき出せば、噛みつくように唇が合わさった。

くちゅくちゅ、ヂュル…、ピチャ…
チュッ、チュッ、…ぷちゅ…ちゅるっ


「んっ、ふ…ヂュルっ…ちゅく…っ、んっ、…チュパ…ッ、――…はぁっ、は、いく、いくっ、…イっちゃう」


たまらなくなって、姫子は仰け反ってビク、ビクッ、と震えた。
押し付けられた腰をイヤらしく回されて、子宮口を嬲られて、絡み付くようなオーガズムを姫子に与えた。
イッたのに、イクのが止まらない。
腰を打ち付けられるたび子宮が疼き、甘い痺れに姫子は啜り泣いた。


「は、はーっ、あ、…俺も、いく、あーいく、いく…っ」

「んんぅ…っ、ふ、んっ、んっ、は…っ、ひ…、ぁっ、あ、あ、あ、あ」


パンッ、パンッ、パンッ、
ヂュポッ、ぬちゅぬちゅ、グチョッ

――ズリュ…ッ

男は腰を引いてペニスを引き抜くと、直ぐさま姫子の胸ぐらに股がった。
よれたコンドームを抜き取り、生身のそれで姫子の唇を抉じ開け、亀頭を舌に押し当てる。
根本からグ、グ、と搾るように擦りあげれば、膨張しきったペニスは精液を吐き出した。

ビュルルル…ッ!
びゅるっ、びゅくっ、びゅく…


「っん、く、んんっ、…ヂュ、ちゅぷっ、…ん…ん…っ」


姫子は噎せ返りながら喉を上下に動かして飲み込み、口内の肉塊に丁寧に舌を這わせた。
射精の余韻を姫子の口内で味わい、男はようやく体を起こして胸ぐらから退く。

はぁーっ、はぁーっ、

息を整えながら腕時計を見下ろし、配達員はひとつ舌打ちをした。
どうやら時間切れのようだ。
唾液とザーメンで汚れたペニスを、姫子が着ている真っ白なエプロンで拭う。
ついでとばかりに先ほど外したコンドームをエプロンのポケットに入れた。
脱げかけていた下着とズボンを穿き直し、乱れた制服を整える。
そして未だ震え続ける姫子をそっと抱き起こすと、その手にペンを握らせた。


「…奥さん、ここ、サインください」

「ん、ん、…はぁ…っ、はぃ…」


姫子は渡されたボールペンを握って、伝票に文字を綴る。
よれて、かすれて、細くかよわい文字。
激しいセックスの名残り。
慌ただしくも快楽漬けにされた、性急に過ぎ去ったおよそ30分。


「…気持ち良かったよ、奥さん、最高だった…。――次、いつになるかな。楽しみだね…」

「ふぁあ…、ぁん…っ、あ…」

「奥さん、オナ禁してて。潮吹かせてグチャグチャに犯したい。…気持ち良いよ、絶対」


座り込んだ姫子の耳元に息ごと吹き込んで、気持ちを入れ替えるように、男はスッと立ち上がった。
チェーンを外し、かけた鍵も戻す。
その背中を姫子は見つめた。
玄関扉を開けて振り返り、宅配便の配達員らしく頭を下げる。


「ありがとうございましたー!」


玄関を閉める前にかけられた声は、近所に評判の明るく元気なものだった。
そこに人妻と不倫を働いた気配はない。
セックスで吹き出た汗を浮かべた額は、働き者の男として衆人の眼にうつる。

誰も気付かない。
2人以外知らない、秘密の逢瀬。

姫子は口内に残る精液の味に、うっとりと余韻に浸ったのだった。











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