あの頃さんざん嬲られた体が、男の声に応えるように…恥部を濡らし始めてしまった。
その声一つで、姫子の体は男の言いなりになってしまう。

(…10年も経つのに、私、…変われてなかったんだ…)

…姫子は「はい…」と細い声を押し出して、潤む視界をそっと伏せた。
『酔った勢い』だなんて言い訳にもならないのに、姫子は男にエスコートされるがまま…ホテルへと連れられた。


* * * * * * *


夜も深い郊外にあるラブホテル。
10年前に使っていた場所。
そこはこの月日のうちに経営者が変わり、改装もされていて当時の面影はほとんどない。
変わらない物なんてない。
けれど時を経て今、その一室で当時のように野蛮な行為が繰り返されていた。


「んっ…ぅ…ふ、ふ、…んっ…」


ちゅ… グプ、グプッ、 じゅるっ

ベッドに座った男の股間に顔を埋め、唾液の音を立てながら、姫子は恋人のものではないペニスを奉仕していた。
裏筋、カリ首、剥けた皮の中、鈴口。
指で扱きながら唇と舌を動かす。
姫子も男も、すっかり素肌をさらしている。
服は自分で脱ぎ捨てた。
男の服も姫子が脱がせた。
そう命じられたからだ。
……さきほども、言われるまま男の目の前でオナニーをして、熱い視線に焼かれながらイっている。

(…やめなきゃ、逃げなきゃ、こんなのだめなのに…ダメなのに…)

恋人だった男のこの声に逆らえない。
逆らうどころか体が火照り、疼き、与えられるものを欲しがってきてしまう。
口いっぱいの肉厚で硬い雄の性器。
…使い込まれた色のグロテスクなソレを、姫子の体は覚えていた。
どこが良いのか、どうしゃぶれば喜ぶのか、教えられたフェラチオのやり方。

上手に出来たときの“ご褒美”も、姫子は思い出していた。


「っはぁ……いいよ……姫子、ちゃんと覚えててえらいね…良い子だ…」


耳朶をじれったく指でくすぐられ、優しい声で誉められ、ざわざわと落ち着きのなかった胸がときめく。
女を扱いやすくするための態度だともう分かっているのに、あの頃、初な体に刷り込まれたせいで、勝手に反応してしまうのだ。

ふいに男が姫子の後頭部を掴むと、そのまま股間へと引き寄せた。

(…あっ…“ご褒美”……キた…!)

上顎を擦り、舌をつぶし、…亀頭がグイグイと口内を進んできた。
太い肉塊が無遠慮に喉に侵入する。
男の縮れた固い陰毛が口周りにあたり、ザリザリと擦りつけられた。
きゅっ、きゅっ、と嘔吐いて喉が締まる。
掴んだ女の頭を好きに動かし、亀頭を唇まで引き出し、喉奥まで捻り込んだ。

グプッ! ゴポッ! ガポ、ガポッ!

破裂音に似た音を立てて姫子の口内は男によって遊ばれた。
おもちゃのように扱われているのに、両足の狭間はトロトロと濡れ、糸を引くようにカーペットへと落ちていく。
子宮が切なく疼いて腰が揺れた。


「んぶっ、は、はぁ…っ! げほ、けほっ、は、は、あ…っ…ぁ……」

「姫子はマゾだから、コレが好きだったよね? 苦しいの気持ちよかった?」

「…はぁっ…ん、…んっ、…うん……」


唾液とカウパー液で口周りを汚したまま、姫子は目の前の凶悪なペニスに舌を這わせた。
唇に感じる硬さ、口内に広がる味、皮膚、脈、匂い。
……体が疼く。
当時、性に未熟だった少女の身体へと植え付けられた快楽が、燃えるような熱を伴って蘇ってくる。
そうとは知らず男好みに調教を施された女の体は、別れた後、欲望を求めてしばらく狂おしいほど悶えたほどだ。
押さえ込んでいた性癖が、忘れようとしていた欲求が、引きずり出される。


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