ここ数年で夏の定番となった『ナイトプール』は、今年も各所で華やかに催されていた。

都内某所にあるこのホテルも、その流行の波に乗って成功したスポットだ。
ホテルの屋外プールはライトアップされ、暗闇の中をネオンが泳ぐ。
アルコールを含んで陽気にはしゃぐ者や、スマホを片手にひたすら自撮りする者。
友人とフロートに乗って遊ぶ者もいれば、蜜月とばかりに人目もはばからぬ恋人たちもいる。

真夏の夜の楽園。
夢見心地にたゆたっている。

そんな彼らに混じって、プール内でそっと寄り添う男女がいた。
水面(みなも)の夜景を楽しんでいる。
……そんな風を装って、その実、水中ではいやらしいことが行われていた。

チャプ… チャプ… 


「っん…ン…、はぁ…、んん…ァ…」


揺れるプールの水音と一緒に、姫子の薄く開いた唇から、堪えきれない甘い吐息がこぼれていった。
そんな彼女の肩を抱いて密着する男は、彼氏でも友人でも知人でもない。
出会ってまだ30分も経っていないのに、2人の間にあるのは淫らな気配だった。
姫子の頼りないビキニパンツをずらして、潜り込ませた指がヌルヌルと動かされていた。

水面を漂ういくつものフロートに人々は集まって、ナイトプールの雰囲気を楽しんでいる。
そんな人々に紛れる“行きずり”の不埒な若い男と女。


「姫子ちゃんのマンコ濡れまくってるよ…」

「…こういうシチュエーションって、っ、…興奮しない…? …気持ちいいよ…子宮疼いちゃう…」


ふ、ふ、と濡れた吐息を落としながら、姫子はうっとりと笑った。
膣内で蠢く指を甘く締め付ける。


「エッチだなぁ… ナンパされてイヤらしい事されんの期待してたんだ?」

「ふふ…、貴方もヤレちゃう女の子探してたんでしょ…?」

「まあね、野郎共は下心しかねぇよ。姫子ちゃんが股の緩い子で俺としてはラッキーって感じ」


明け透けで下品な言葉のやりとりをしながらも、姫子の快感はどんどん追いつめられていった。
ワンナイトで女を遊び尽くした男の指は、ワンナイトを楽しんできた女を喜ばせるのが上手だ。

ナンパ待ちでナイトプールへとやってきた姫子と、ナンパ目的で狩りをしにきた男。
どちらも割り切りの“体”を求めていた。
肉欲の下心を感じ取った2人は、出会って直ぐに体を触り合った。
普段とは違う空間の中ではその行為も大胆になり、大衆に紛れてペッティングにさえ発展してしまっている。

夏の夜は人を開放的にさせる。
肌の露出と共に心の抑制を脱ぎ去る。
そこに理性なんてない。
無防備になって享楽に溺れたがるのだ。


「…っは…ぁ…、…ん、んン…っゃ…、だめ…そこだめ…」

「ここ良いんだ? イっちゃいそう?」


姫子は顔を伏せ、腕に額を押し付けて、声を噛み殺した。
膣内に潜り込んだ指はきっとふやけている。
それくらい意地悪でいやらしい愛撫だった。
不安定な水の中で責め立てられる。

(っあ……イく、イく、…だめっ)

――バシャッ

姫子は思わず体を跳ねさせた。
荒い波が一瞬出来て、すぐに打ち消される。
声が出なかったのが不思議なくらい、強い快感が姫子を襲った。


「…イっちゃったん…?」

「っふ、はぁ…んん…っ、ぁ…、い…イっちゃったぁ…」


くったりと男の腕の中に寄りかかり、水の中では下半身を余韻にくねらせる。
ぬかるんだ膣内から指が出て行くと、姫子は大きく溜め息を吐いて震える肌を宥めた。


「次はこのエッチなオマンコで俺のこと気持ち良くしてよ、ね?」

「ん…っ、うん…ホテル行く?」

「それも良いけどさ、――もっと良い場所があるんだよね」


姫子ちゃんエッチな子だから、すげぇ気に入ってくれるよ。


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