地元民だけでなく近隣の県からも参拝者が訪れる神社は、この日、夏祭りで賑わっていた。
色鮮やかに並ぶ屋台。
軽快に弾む祭囃子。
打ち上げ花火の時間が迫ってくれば、さらに混み合ってくる。

その一方で、華やかな境内の会場から離れた臨時駐車場は、街灯も少なく人気もまばらで薄暗い。
やってきた車、帰る車、各々の目的に向かって楽しげに歩く人たち。
そんな中で起きた異変に、そうそう気付ける者はいないだろう。

――1人の人間が車中へと引きずり込まれて、そしてそのまま連れ去られてしまっても。

夜に紛れやすい一台の黒いワゴン車が、他の利用者と同じように、駐車場から出て行った。
その車は大通りのある街中へと下って行かず、更に山を登っていく。
提灯の明かりからどんどん遠ざかり、暗い蛇行する山道を進んでいった。
やっと車が止まったのは頂上付近にある見晴らし台の広い駐車場だ。
他に停まっている車はいない。

エンジンもライトも消してしまえば、黒い車体は簡単にその存在感を失った。


「……っ …ゃ… …ぃ… …めて…!」


運転をしていた男が運転席から降りると、後部座席を開けて中へと乗り込んでいった。
その時漏れ聞こえてきたのは、怯えるような悲鳴と、啜り泣く声。
風でざわめく木々の葉音で掻き消され、誰の耳にも届かない。
広いとは言えない車内。座席のシートを全て倒したその上で、複数の人影がもつれあっていた。
乱れた浴衣姿の少女と、それに群がる3人の成人男性。
嫌がる女の細い足を割り開いて、その狭間へと執拗に腰を押し付けている。

何が行われているかなど明白だった。


「っいや、いや、ひっく…うっ、あぁぅ…っ、やめてやめて…っ」


綺麗に結われていた筈の髪をぐしゃぐしゃにほつれさせて、姫子は必死の抵抗も虚しくされ首を振っている。
細い両手は男の手によって頭上に押さえつけられていた。
身動きを封じられた姫子へとのしかかり、男が好き勝手にその腰を前後に振っている。


「あー…気持ちいい…たまんねぇ…」

「うっ、…うぅ…ヤだっ、ヤだぁ… やめて…帰して…っ」

「俺らのチンコすっきりさせたら、ちゃんと帰してやるよ」

「早く帰りたいんなら、マンコ締めて俺らを気持ち良くさせて欲しいなぁ」


物色していた獲物をもくろみ通り拉致してきた男は、姫子の具合の良さにずっと腰を打ち付けている。
そうしているうちに唾液で濡らしただけだった膣内はヌルヌルとしていき、男の先走りだけではない潤いで、男のピストンをスムーズにさせた。
は、は、と呼吸を荒げて姫子は目をつむって首を振り続けた。

ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ、

男たちの話し声に混じって車内に響く、姫子のいやらしいぬかるんだ音。
信じられなかった。
自分の体が心を裏切る。
濡れた“女”の音を聞き、上擦っていた息をしゃくらせて、姫子は泣きじゃくった。


「はぁ、はー…っ、めっちゃ濡れてきた… お前レイプされて感じてんのかよ」

「ひっ、ひ、ひぅ…ッ や、やだ…やだ……っ、抜いて…」


性にまだ初な若い体は、暴力的な勢いでぶつけてくる性感に、抗う方法を知らない。

怖かった、本当に怖かった。
いきなり羽交い締めにされて、引きずり込まれて、犯罪の被害者にされて。
痛くて苦しくて、夢なら覚めて欲しい。
怖い、助けて、止めて、許して。

――なのに。

(…どうして濡れちゃうの…?)

ショックに震える姫子の上で腰を揺さぶっていた男は、間の抜けたような吐息を落とし始めた。
一度、何かを耐えるように身動きを止め、姫子の足を抱えなおして再び股間を打ち付ける。

……男の限界が近付いていた。

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