友人に誘われて訪れたナイトクラブ。
激しいリズムと音の洪水が身体を揺らし、煌めくライトが乱舞する、まさに夜の遊び場だ。
雰囲気に気後れしてしまうのと、周りのテンションにノりきれない場違いさ。
姫子が居心地悪げにしているのを見かねた友人が、アルコールを勧めてくれた。

見た目も鮮やかな甘いカクテル。
恐る恐る、一杯。
飲みやすさに二杯目を飲み干して…。


「……うぅん……、マドカ…なんかちょっとフラフラする…」

「姫子ってお酒弱かったの? ほらぁ、ちょっとあの隅で休んできなよ〜」
 

言われるまま姫子はよたよたと隅の壁へともたれた。
ステージからもバーカウンターからも離れているが、同じように小休止する目的のためか、人はそれなりにいる。
ふらふらする姫子に「お酒飲みすぎちゃった? ほら、水飲みなよ」とペットボトルが差し出された。
支えるように細い肩を抱く男の指。
彼女は何の疑いもせず、蓋の開いたそれを口に含み飲み込んでしまう。

……囲い込むように近付いていく、野蛮な狩人たち。

頭が回らない。
意識がどんどん混濁するようだった。
掌からすり抜けていったペットボトルが床に落ち、パシャッ、と中身が床にまけられる。

――アルコールと混ぜることで意識を混濁させる薬がある。
追い打ちのように与えられた水に入れられていたのは催淫剤だ。

姫子はすっかり酩酊状態になっていた。
身体にどうやって力を入れればいいのか。自分の足は立っているのか、それさえも分からない。
そもそも何かを深く考えることが出来ないし、疑問を浮かべられるほど頭が回らない。
目は開けているのか、瞑っているのか…。

四方に壁がある…人だ…男の人たち。
友人はどこ…?
この人達は何をしているの…?

………。

……………。


「あ…あ…はぁ… あー… あぁー…」


くちゅっ グチュ…グチュ…
ぬちゅ ぬちゅ ぬちゅ

濡れた音がしている。
あつい…あつい…。
知ってる、これ、この感じ…。
…気持ちいい…気持ちいい…。

なんで…?


「すげぇ、もうビショビショじゃん…。気持ちよさそーに腰揺らして濡れまくってら…」

「大人しそうな子ほどエッチな体してるよなー…」

「意識はまだありそう?」

「イかせてトばしちまえよ」


間近で聞こえてくる幾つもの声。
男たちの楽しそうな会話。
聞こえているのに頭に入ってこない。

グチュ グチュッ くちゅくちゅ…っ

音とともに体が熱くなる。
姫子の下肢は溢れ出る愛液で濡れ、ヌルヌルと男の指を滑らせた。
恥骨の裏側を執拗に擦られる。
摩擦で泡立ちドロドロだ。
腰が震えて跳ねる。

唇が覆われるように何かに触れ、口の中にぬろりと蠢くものを入れられる。
苦い…ううん、甘い…?

グチュ、グチュグチュッ
ぐち ぐち ぐち、グリュグリュッ


「っん、ん、んぅ…っ! ――ッ!!」


唇と唇の間で姫子の嬌声が上がる。
見開かれた瞳は涙で濡れそぼり、与えられた快楽に蕩けていた。
蠢く指を膣内が何度も締め付ける。
ビクビクと震える腰はいやらしくくねり、男の指を勝手に抜き差ししていた。


「…トんだか? じゃあヤり部屋に行こうぜ。早く俺たちにもマわしてくれよ」

「分かってるって。でも俺が一番手な」


姫子の膣内を嬲っていた指はそのままに、男たちに支えられるまま場所を移される。
連れ込まれたのは直ぐ側、蓋フロアの隅に作られた小部屋だ。
広げられた大きめのソファベッドだけが置かれた不自然な密室。
誂えられたレイプ部屋。
このクラブが用意した男たちの狩り場だった。

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