「長谷川さん、横になりましょうか」


穏やかでゆったりとした声。
耳元で囁かれると、まるで催眠術にあったみたいに身体が動いてしまう。
マッサージ台の上で横になった姫子の両足から、焦らすような手付きでストッキングが脱がされた。
続けてショーツを引き抜かれると、立てた両膝を大きく割り開かれてしまう。
外気に触れてとろりと濡れ落ちるのを感じながら、姫子は吐息をこぼしながら体を投げ出した。

( もうこんなに濡れちゃってる…、ああ…お股が熱くて…疼いてる… )

温められたローションが剥き出しの下肢に垂らされる。
濡れた指がクリトリスを優しく撫で、姫子は喉を仰け反らして唇を震わせた。


「長谷川さん…我慢は身体にとって毒ですよ…。力を抜いて、…そう…、そのまま声を出してみましょう…」

「は…ぁ…っ、…あ…あっ、ぁーん…っ」


自分でも初めて聞いた、いやらしい声。
果物が熟れて腐る前のような、はしたない女のそれを、恥ずかしいとは思わなかった。
体の芯が熱でとろけていく。
マッサージ師の太くて長い指が差し込まれ、寂しがっていたソコを撫でられてしまえば、姫子はますます淫らな声を上げていった。

クチュクチュ チュプッ
じゅぽっ、じゅぷっじゅぷっ

腰が浮き上がる…。
責めてくる指から逃れようと、悶えるように腰をひねり、背中を反らした。
尻が完全に浮いて戦慄いている最中も、男はひたすら姫子の性感を指で犯した。
「あ、あ、あ」と切羽詰まった女の声が、興奮でぼやけた頭に聞こえてくる。

恥骨の裏側を執拗にノックされている。
足を突っぱねつま先でシーツを噛んだ。
仰け反る喉元も無防備に晒す。
いつしか喘ぐことさえできなくなり、声もないまま震え――。

( イク、イク……っ! )

勢い良く指が抜かれた。瞬間。
嬲られ続けた刺激から解放され、姫子の股間は激しく熱を帯びて跳ね上がった。


「っ…ひぃ…――…!!!」


バシャ…ッと潮が噴き出す。

まるで失禁したような感覚は頭を真っ白にさせるが、その直ぐ後にやってきた強い快感に、姫子は空洞の膣内を締め付けた。
恥部を中心にして身体中を駆け抜けていった、とろけるような、激しい刺激。
強烈な快感に一気に身体が強張り、引きつった音のない悲鳴が空気を震わせた。
ビクッ、ビクッ、とマッサージ台の上で浮かせたままの下肢を跳ねさせ、姫子は長く尾を引く気持ちの良い波に漂った。

頭も身体もふわふわとしている。
鼓動は激しいし、呼吸だって忙しないのに、何もかもを満たすような心地の良さ。


「っは、はぁ、っん、う…ハァッ、あ、あ…っあ…あぁ……」

「長谷川さん、とっても綺麗だ…。今まで堪えてきたモノを解放しましょうね…」


男は言うと、窮屈なほど張り詰めたズボンを下着ごと脱ぎ落とした。
反り返ったペニスを剥き出しに、マッサージ台に乗り上げてくる。
痙攣する姫子の両足を大きく広げ、その合間に身体を捻り込んできた。

マッサージとは名ばかりの行為は、引き返せない一線を越えようとしている。

使い込まれたグロテスクな男のペニス。
血管を浮き彫りにした雄の強い存在感。
その凶悪な有り様に口の中に唾液が溢れ、姫子は喉を鳴らして釘付けになる。

( すごい…こんなのに“マッサージ”されちゃったら…私…… )

お腹がキュンキュンと疼いている。
胸が期待にざわめき、うっとりと瞳が潤んでとけた。


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