discover−2
「珍しい、ナルがおかわりなんて」
麻衣が驚いたように呟く。お祖母ちゃんのみそ汁が気に入ってもらえたなら何よりだから、喜んでと答えてお椀を受け取った。
「はい、どーぞ」
先ほどと同じようによそって渋谷さんに手渡すと、なぜか渋谷さんはじっとあたしを見つめている。何か肩にでもついているかと確認するけれど、何もない。美形に見られるのは精神的によくないのでこちらから視線をそらした。
「ナル、もしかしてひなのこと気に入ったとか?」
「あ、綾子さん!」
スキャンダルが好きな人だなあ、と思いながらあたふたと窘める。唯我独尊らしい渋谷さんにそんなことを言って平気だろうか、と見当はずれな心配をする。
「ひな、あなた……それ…!」
場違いに震えた真砂子の声に振り返ると、真砂子は青い顔をしていた。
「真砂子、大丈夫!?」
「あたくしは平気です。ひなが……え?」
お祖母ちゃんと太一がきょとんと真砂子を見つめている。真砂子は一つ瞬くと首をひねった。
「今、確かに……」
「…やはりか。浅野さん、この後話があります。ベースに来てください」
真砂子の言葉に渋谷さんが頷く。何かを確認したらしい。みそ汁に手をつけていないところを見ると、確認のためにおかわりを要求したようだ。
「えーと、お風呂のあとじゃ…」
「駄目です」
「……ハイ」
有無を言わせぬ、十七歳とは思えない威圧感と貫禄。頷くより他なかった。
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