002: エレーミア・ルヴィニ

002-5: incubus × exorcist(祓魔師)

(高層ビルの屋上には夜風が強く吹きつけ、そのせいで自分の髪ばかりでなく横にいる主人の大層な装束もばさばさと靡いている。暇に飽かしてその裾と戯れていたが、眼下に広がる路地をオペラグラスで熱心に覗いていた相手が、あれだ、と上げた声を聞きつけると気負わない身軽さでフェンスも何もない屋上のへりに足をかけ)
ああ……なるほど。あそこにいるな。
(相手の指す方向に目を凝らし、瞬く間に暗闇に潜む異形の影を捉え、それを合図に身を低めて弧を描いた唇を舐める仕草は獲物を狙う肉食獣のよう。いつでも飛び出せる体勢で、ぐ、と力を込めた五指の先では鋭く尖った爪が光り)
それで、ご主人はあいつをどうしたいんだ? 生かしたまま捕らえる? ……仕留めていいなら、あの程度、五分もかからず終わるぞ。

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