002+: エレーミア・ルヴィニ

002+2: incubus × ...

(一緒に行きたい、と無理を言って着いてきた舞踏会に、しかし相応の人出のなかで人見知り気質を発揮して踊るでもなければ楽しそうな顔すら見せず、ひたすら諸兄姉と言葉を交わす庇護者の後ろにくっついて過ごしていたのが相手の目に留まったらしく、気を使われたものだろうか、当主でなく自分に直接声をかけられると、むしろいっそう緊張した面持ちでささっと当主の背後に隠れてしまい。苦笑して早々に体を避けた当主によって挨拶を促されてもなかなか最初の一言が出ず、いたずらに唇を開けたり閉じたり、そのうちにまろい頬に朱がのぼり目を潤ませるものの、そこまで至ってようやく肚を括った様子で一歩前に進み出れば、両手でドレスの端を摘んでぎこちなく一礼し)
……は、じめまして……エレーミアです……。……も、もういっていい? しつれーしますっ。
(俯きがちに細い声で最低限の挨拶を述べるだけでも、豊かな金糸の隙間に覗く耳の先まで真っ赤にし、言い終えるなり拭い去れない気まずさから逃れるように当主に伺いを立てると、申し訳程度にもう一度相手に軽く頭を下げてから、長い髪とドレスの裾とを靡かせつつ人の気配のないテラスのほうへぱたぱたと駆け出し)

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