002+: エレーミア・ルヴィニ

002+1: incubus × first guardian(初代後見人)

(東の方角は空を覆っていた闇がほどけるように薔薇色を濃くして薄明るくなり始め、夜明けが近いと知らしめる。陽が昇るこれからの時間を休息に充てるのが一般的な淫魔に対し、朝の早い人間は活動を始める頃合であることを証明するように、まだ明かりの灯る廊下の向こうに見つけた屋敷の主はきっちり身なりを整えていて、ゆとりのあるワンピース状の寝間着を身に着け、髪を緩く結んで、まさに今から就寝しますと言わんばかりのなりをした己とは正反対。肌触りのよい光沢ある生地をフリルで飾り立てた寝間着のいかにもな上品さを台無しにするのも厭わず、長いスカートをたくし上げてばたばたと大股で相手のほうへ駆け寄っていくと当主もこちらの存在に気が付いたようで、視認されたことを自覚してぱあっと満面の笑顔を咲かせ、走ってきた勢いに任せて元気よく相手に飛びつき)
当主さまー! おれ寝るね! だから、おやすみのちゅーして?
(その腰に子供らしい細腕を回し、纏わりつくようにぴったり体をくっつけ、顔を上向けてキスをねだる。目を瞑って相手の唇が降りてくる瞬間を今か今かと待ち侘びるが、実際に唇が触れるにしろ触れないにしろ、早々に待ちの姿勢に飽きてぱちりと目蓋を開け、相手の顔を真正面に捉えると気の抜けた笑みを浮かべ)
えへ。それじゃ当主さま、おやすみなさーい。当主さまなら、おれが寝てるときでもおへやに来ていいからね! おしごとがんばってねーっ!
(就寝の挨拶をして名残惜しげに手を離し、窮屈でないようたっぷりの生地を使って作られた袖がはためくほど大仰に両腕を振りつつ、今日もまた一日、家長としての務めを果たすのであろう相手にエールを送って、自分はふかふかのベッドで休むため自室に向かって再び騒がしく走り出し)

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