012: フィロ・クラベル

012-7: clergyman × relative(親族)

(来客を知らせる甲高いチャイムの音が昼下がりのキッチンにも響き渡り、高温に熱せられたオーブンの中でじりじりと焼けていくガトー・バスクの生地を気にしつつも、リビングの壁面に備え付けられたインターホンのもとへ足早に向かう。通話操作をする寸前、一瞥した壁掛けカレンダーには今日の日付のすぐ下に母国語で走り書きがしてあり、それは事前に知らされていた、遠地から来訪する予定の親族の名前。一方でアポイントを取る余裕もなくやってきた相談者の可能性もあり、はい、と応答した第一声は聖職者らしく堅苦しいトーンだったが、液晶モニターに映った姿を確認するや声が一段明るくなり)
ああ、久しぶり……! 今開けるから、少し待ってくれ。
(実際に画面上に現れたのは前者。よくよく見知った身内との再会に、エプロンを外す間も惜しんで玄関に駆け付けると急ぎドアを開いて相手を迎え入れ、司祭として聖堂に立つ際にはほぼ常に厳めしく寄せている眉を開いて顔を綻ばせ)
よく来てくれた……本当に久しぶりだな。見ない間に背が伸びたか? 近況は知っていたつもりだったが、何だか見違えた気がする。
(記憶のなかにある相手の身長をなぞるように、エプロンの胸の部分、桜桃を象ったワンポイント付近で左手を水平に翳し、今の背丈と較べてその成長を喜ばしげに受け止め。他にも一通り相手の外見的変化を確かめ、浮かべた喜色はそのまま両腕を広げ、故郷で身内に対してはごく気安く行っていた対面時のハグを今回も、緩く腕のなかに囲った相手の頬の左右それぞれに音を立ててキスをしてから、香ばしい焼き菓子のにおいが漂うリビングに促しつつ)
そういえば、連れは? まさか一人で来た? ひ、一人旅なんて出来るようになったのか……!




*設定補足
年の離れた弟妹や甥姪など年下の親族が当PCの赴任先に遊びに……というイメージでした。
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