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「ねえ、なにやってんの、アレ……」
「知るか」
「えっA組女子じゃん!私だけハブなんだけど!」

 会場に集まると、もう大体が揃っていて、その中でも異色の軍団がいた。百、透、三奈、響香、お茶子ちゃん、梅雨ちゃん。私以外のA組女子が、揃ってチアガールの格好をしていたのだ。なにそれ聞いてない。

「なになに!あれなに!?」
「おっ緩名とバクゴー!一緒にいたんだな!あれな〜……なんか上鳴と峰田がやらかしたみたいだぞ」

 爆豪くんを引き摺って、近くにいた切島くんに聞く。なるほど、下心2人組か。いかにもだった。離せ、と掴んでいた腕を軽く振られて、そのまま離す。別に未練はない。

「え〜私の分もあるかな〜」
「着る気か!?」
「イカレ女……」
「緩名はそういうとこあるからな〜」
「俺は大歓迎だぜ!」

 切島くんに驚かれ、爆豪くんにクソあだ名シリーズを増やされ、瀬呂くんに若干disられ、上鳴くんに歓迎された。チアガール、かわいいじゃん。私以外が着てるなら私も着たいよね。

『さァさァ皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目、進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!一体一のガチバトルだ!!』

 最終種目は爆豪くんの言った通りトーナメントだった。例年形式は違えどタイマンらしい。爆豪くんには優勝なんて言ったけど、普通に自信はない。まあ、やれるだけやったろうの精神だ。本気を出してぶつかって青春出来るのも、若さの特権だと言うことを、前世のおかげでよく知ってる。

「それじゃあ組み合わせのクジ引きしちゃうわよ。組が決まればレクリエーションを挟んで開始になります!」

 レクリエーションの内に出店回れるかな?たこ焼き食べたい。レクの参加不参加は個人の采配らしいが、私は不参加だ。そこで体力使って本番ぶっ倒れたら先生にどつかれそう。

「んじゃ一位チームから順に……」
「あの……!すみません」

 いよいよクジ引き、となった時に、尾白くんが挙手をした。

「俺、辞退します」
「尾白くん!何で……!?」
「せっかくプロに見てもらえる場なのに!」

 尾白くんの辞退発言に、皆がどよめく。何故。
 尾白くんは、騎馬戦が記憶にない内にほぼ終わってしまっていたそうだ。活躍していないのに、本戦に進むなんて出来ない、なんて、実直さの現れたコメントに、青臭さに震えたミッドナイト先生によって辞退が認められていた。多分B組の人も。空いた2枠は、繰り上がりでB組の人が2人入ったようだ。皆良い子で青春だなあ。

「というわけで、鉄哲と塩崎が繰り上がって16名!組はこうなりました!」

 私の一回戦の相手は青山くん。レーザーか……。飛び道具って強いしテンション上がるよね。キョロキョロと青山くんを探して、目が合うと一瞬の静寂の後ウインクを飛ばされた。あはは、謎〜。私もウインクを飛ばし返す。間にいた緑谷くんがポカンとした顔をしていた。

「おうおうおう緑谷くんおう」
「あはは、緩名さん、何キャラなの……」
「緑谷くんと当たるなら決勝だね〜。お互い壁は高いし多いけど、頑張ろうね」
「うん……うん!もちろんだよ、頑張ろう!」

 一番高い壁は轟くんと爆豪くんかな、やっぱり。戦闘センスがずば抜けてる。グッと拳を握り締めて笑顔になった緑谷くんに、私も拳を握り締めて差し出した。目を見開いて、それからふにゃ、と笑ってコツン、と拳が合わさった。青春〜。

『よーしじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間!楽しく遊ぶぞレクリエーション!』

 さて、出店出店!



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