ボロボロになってく







“嫉妬”なんて、したくなかった
負けてるみたいで、余計みじめになるだけだって、分かってたから




なのに
あたしは、嫉妬してる。

晋助から好きだと思ってもらえる名前先生に




喉が、からからに渇いてくのが分かって
涙が、出てきて




あたし、今─…
なに、考えてた?
晋助が、振られればいい、って








あたし、あたし
最低



この嫌な感情から逃れたくて。昼休みあったこと、いつの間にか、話してた
ただ、同情の道具でしかない、話を。





「!!神……威

あの、ヤロッ…!!」




晋助が、屋上に向かって走り出そうとした。
この時間、いつも神威くんは屋上にいるから
知ってる、こうやって怒ってくれるのも、あたしが親友だからだってことくらい




『行かないで』




もう、大丈夫だから
神威くんは、まだ怖いけど




『ごめんね
嘘吐いて、ごめん。





酷い事、言って、…ごめんなさい』




振られろ、なんて、考えて

酷いこと考えてて、最低な友達で、




「お前は、悪くねぇだろ…」




だから、泣き止め、って、私の頭を撫でてくれる晋助が、愛しい



ちがう
ちがう
そのことだけで、謝ってるんじゃないの

あたし、晋助に優しくしてもらう資格なんかないのに




「今日は…帰ろーぜ
俺、送るから」




あたしそんな、資格なんてないのに。
それでもまだ




晋助の、そばに居たかった






『ただいま…』




誰も居ない家に向かって、声をかける。
リビングに座り込んで、今日のことが全部思い出された。
何も、する気が起きない



どくん、どくん




『そ、だ。トシと、総悟くん』




結局、何処にも行けなかったな…
2人とも、心配してるはず
明日、謝んなきゃ

謝って、それで




どくん、どくん


それで─…
どうすれば、いい?

2人に、何を、なんて言えばいいの




『…っ』




ずっと、胸が痛い
ずっとずっと、いたい

晋助と名前先生、付き合うんじゃないか、なんて考えて




情けない、あたし
辛い、なんて
苦しいなんて

今に始まった事じゃないのに
弱い弱い、泣き虫なあたし



名前先生の授業だけ真面目にうける晋助が、嫌い

似合わない勉強姿が、嫌い

名前先生の話をするときの笑顔が、嫌い

名前先生の前だと、すごくいい表情になる晋助が、嫌い

あたしには、向けられない、その笑顔が、嫌い



くやしい
すごい、くやしい


先生は、すごい綺麗で
あたしなんかが敵うわけも無いから



あたしは、必死に近づいて
やっと友達になれたのに。

名前先生は、突然現れて、簡単に“晋助の好きな人”になったから

だから





あたしが、晋助と親友なんて





それが、くやしくて仕方ない
晋助のこと好きな気持ちを、誰にも負けるつもりなんてないのに

なのに、あたしと晋助は、ただの友達で




負けてなんか、ないのに
なのに
1番には、なれないって、知ってるから





ボロボロになってく
(本当のことにさえ、目を向けられなくて)








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