休日のお昼すぎ、午前練習のみだった部活が終わる頃2人は帰路に立っていた。 『西谷、今日は午前練習だけだったし家よる?』 「んーいや、俺ん家だな」 一瞬考えた後に何かを思い出した西谷はニッと笑いかけ足早に道を進み始める。 まだ残暑の残る道はアスファルトがじりじりとしていて少し風が吹いたくらいでは涼めない。 それでも少し汗ばみながら繋がっている手を彼はきゅっと再度強く握り直した。 西谷の家に着くとただいま、という一言が家に木霊してすぐに消えふと黒尾は何かに気づき頬を赤く染めた。 「家に誰もいねぇって言ったら帰るか?」 『っ!』 そのストレートな一言に先ほどより顔が赤くなる黒尾を抱きしめるとわざと耳元で「嫌ならしねーけど」と答えがわかっている質問をしては片手が背筋をなでた。 学校に居る時よりも静かでワントーン低い声で囁かれ胸の奥がきゅっとするのを黒尾は感じてゆるゆると彼の背中に腕を回した。 『嫌がるわけないでしょ?』 「聞いとかねぇと嫌がられたらショックだからな」 『そんなガラスノハートだとは知らなかったなあ』 ふふっと笑う黒尾の腕が首に絡むのと同時に西谷の男らしい腕が軽々と黒尾の体を持ち上げて家の階段をのぼる。 彼女の額に何度もキスをしながら西谷は自室のドアを開けて静かに鍵をかけた。 ベッドに黒尾の体を静かに沈めると西谷のキスが降り始めて片手が彼女のブラウスのボタンを器用に外していった。 (西谷、いつも馬鹿みたいにうるさいのにこうゆう時だけすごく…) 視線が絡むと真剣な西谷の鋭い目が黒尾を捉えゆっくりと近づいた。 唇が重なる頃に瞼を閉じるとまだそこに先ほどの凛々しい彼の顔が浮かび心臓がドクンと波打って体が熱くなるのを黒尾は感じていた。 (すごく、えろくてかっこいいだよね) 月の顔は秘密 (この顔ばっかりは、一生私の秘密にしたい) |