ラッキーハプニング 2/3


しばらくお互い黙って捜索していたが、ふいにゆきが何かを見つけ明るく声を発した。


「あ!フーゴ!それっぽいのみっけた!!」


その声に中腰でしゃがみ込んでいたフーゴは立ち上がり、ゆきの方を見た。

「本当ですか?・・・またいつもの勘違いじゃあなくて?」

「失礼だなフーゴっ!・・・どうだろう。やけにこの箱、頑丈に閉じられてるんだよね。」

ちょっとやそっとじゃあ開かない箱に、ゆきは思いっきり力を込めた。


そしてその様子をフーゴは少し離れた場所から眺めていた。


「(・・・大丈夫なのか?)」

少し心配そうにゆきを見ていた。


しばらく空かない箱と格闘していたゆきだったが、力を込めた際に勢いよく箱が空いたのだった。


その中身を見てゆきは一瞬で硬直した。


フーゴはいきなり動かなくなったゆきを不思議そうに見た後、口を開いた。

「ゆき?・・・どうかしたんですか?」

そう声を掛けた瞬間。


「ーーーーっっっ!!!」

急に我に返ったように体を大きくビクつかせ、声にならない叫び声を上げたと思えば、手に持っていた箱を壁に向かって放り投げた。


そしてそのまま勢いよく、怯えたようにフーゴの方へと走り出す。


フーゴが反応するよりも早く、ゆきはフーゴのむき出しの逞しい腹筋へ抱きつくと顔を埋めた。


「ちょ・・・っ、ゆきっ!!??」

あまりの急なことにフーゴは思考が停止した。


思ったよりゆきの抱きつく勢いが強かったため、フーゴは衝撃に足をもつれさせそのまま後ろへと倒れ込む。


「むむむ、むむ、む、む、む・・・」

動揺して言葉に出来ていないゆきの頭を一撫でして、ようやくフーゴも口を開いた。


「落ち着いてくださいゆき。どうかしたんですか?ゆきがこんなに怯えているなんて、一体なにが・・・。」

未だ小刻みに震えるゆきは、なんとか息を整えてゆっくりとフーゴの腹に顔を埋めたまま話し始めた。


「・・・箱を、あけたら、中に・・・む、む、・・・っ」

「む・・・?」

「虫が・・・っ!!!」


ガバリと顔をあげたゆきとフーゴはようやく目が合った。


その瞳に涙を浮かべ、不安そうにフーゴを見つめる視線にフーゴは思わず、ゴクリと息を呑む事となった。

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