2
 

翔陽と影山が3対3に向けてひたすら練習をしている頃、今年から顧問となった武田先生は、ひたすら動いてくれていた。
顧問が決まって挨拶にきてくれたときも、「指導は出来ないけど、その他は頑張るから!今のところ、何か困ってる事とかはありませんか?」って聞いてくれた。良い先生な事はわかってたので遠慮無く「練習試合がしたい」「指導者が欲しい」事をひたすら訴えた。
練習試合に関しては気合いで何とかしてくれると確信してたりする。後は指導者だ。
烏養コーチ!

「ーーという訳で強くなりたいんです。でも、やっぱり試合となると、選手の誰をどこに入れるか、とか他校の情報を冷静に分析出来る人が必要です。正直、今の私達が正しいのか、そうでないのかもわからないんです。」


「・・・成る程・・・」


「で、つい先日これを見つけたんです。OB会の資料なんですけど、この人、烏養監督と同じ名前なんです。」
「!もしかして・・・!」
「あまり無い名字ですし、血縁者・・・お孫さんではないかと。
指導力はわかりませんし、卒業生でここまで前だと、私達ではこの方の事を調べようが無くて・・・。」
「わかりました!僕の方で何とかしてみますので、進捗あればお知らせしますね。」
「ありがとうございます!!」

「それと、先生。ゴミ捨て場の決戦というのはご存知ですか?」
「いや・・・初めて聞いたよ」
「東京の強豪である音駒高校。通称ネコ。烏養監督と音駒の監督がライバル同士だったんです。昔はよく練習試合が行われていたようで、ネコ対カラスだから、ゴミ捨て場の決戦と呼ばれていたんです。近所の方も見に来るような伝統の一戦みたいなものだったんですって。」
「へぇ〜」
「あちらの監督さんが復帰されたと聞き、失礼は承知の上で電話してみたんです。
話は聞いて下さったんですけど、やはり学校を通してからじゃないと、と言われまして。まぁ当然ですよね。」
「でも、これが実現すれば、きっと烏養監督も元気になって下さると思うんです。だから・・・」


「わかりました。僕がやりましょう!」
「!!ありがとうございます!あっでも、指導者の件はチームの皆には内密にお願いします。まだ全くわからない状態で、期待させるのもアレなので・・・」

出来れば青城との練習試合前にコーチになって欲しいけど、あの人音駒の事聴くまで動かなさそうだし。ちょっとでも早く来て欲しい・・・!


「・・・日向さんは凄いですね。」

「え?」

「全部、自分で調べたんでしょう?僕は今までも色々部活の顧問をしましたが、マネージャーでここまで熱心な人を初めて見ました。
生徒の役に立つ事こそ、教師として、顧問としての務めです。必ず、実現しましょう!」

「はい!宜しくお願い致します!!」



武ちゃん先生、ごめんね。
知ってたから動いただけなんです。

でも、『知ってた』だけで動けない。『なぜ』と問われた時、答えれ無いといけない。
OB会資料は1年のとき、血眼になって探した。
絶対あるはず!!探してたら『飛べ』って書いた横断幕を発見!・・・隠しとこ。
で、無事に見つけて今度は烏養監督がいる時にさり気な〜く家族の話をして(お前の家族は全員チビなのか?と聞かれたからつい脇腹にチョップしてしまった)孫がやってた事を聞きだしておいた。
そう、全てはこの時の為。
つーか武ちゃん先生になる前の顧問にも、同じお願いはしていた。まぁそれはそれは動かないこと!
いや〜話を最後まで聞いてくれないしね。
本当、武ちゃん先生さまさまです!




というわけで



武ちゃん先生は思った以上に動きまくってくれている。
逐一報告も!報連相が完璧とか社会人の鏡か。

烏養コーチが指導力に優れてることがわかったから説得してるけど頷いてくれないと。
音駒を落としたら来てくれるかもですよ!昔はさかんに交流してたみたいですし!と言ってアゲておく。

・・・ところで武田先生、ゴミ捨場の決戦知らないって言ってたけど、どうやって知ったんだろ。
・・・ネット?んなアホな。えー、誰から聞いたんだろ。と考えるとなんか怖いから気にしないようにしよう。うん。




明日は例の3対3の日。
おっと、その前にに新たな新入部員、山口忠と、月島蛍が入部しました。

いや、あの、山口くんはね、人当たりが良いという、優しい子な事はわかってるんだよ。だから緊張しつつ笑顔でご挨拶はわかるんだよ。

ツッキーだツッキー!と思ってたら・・・

笑顔で挨拶するんですよ。
わかります?目が笑って無い・・・。
ツッキーは誤解されやすいけど、本当は悪い子じゃないことは知ってる!でも凄い鋭そう。
色々秘密を抱えてる身としては油断出来ないな。
・・・ま、あんま自ら関わって来そうにないからいっか!でも、ちょっとずつ仲良くなれればいいなぁ。大事な『烏野の理性』だ。









「山口くんと月島くん・・・。ツッキーとグッチーだね」
「・・・ニコッ」
「すいませんでした」


前へ 次へ


 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -