1
 

ようやく!ようやくこの日が来た・・・!!
とうとう始まるんだ!!



3年になった。翔陽が、入学した。
ちなみに入学式の時、緊張した翔陽は手と足が一緒に出てた。可愛かったわぁ。心のシャッター押しまくりよ。

そして、新しい顧問が武ちゃん先生になった・・・!
しかも3年4組!また澤村スガコンビにゆきちゃんも同じクラスだ!



こうして3年間、バレー部と関わってきて
何度も何度も「落ちた強豪」「飛べない烏」と言われてきた。
紙面以上に悪意ある言葉を実際に言われた時は悔しくて悔しくてたまらなかった。

ようやく、飛べるんだ・・・!!






「さち」
「潔子ちゃん!どうしたの?」
「これ、武田先生から今のとこの入部届け。澤村に渡しておいてくれる?」
「わかった、ありが・・・あっ」
にょきりと真横から大きな手が伸びてきてそのまま奪われる

「少ないな・・・昔は多かったのに。」
「こっから増えるって大地!」
「潔子さん今日も美しいっす!!」
「・・・」
「ガン無視最高ッス!」
「もー大地くんびっくりした!で、なんで田中いんの」
「じゃあさち、また部活でね」
「あっうん!ありがとーまた後でね〜」
「潔子さんの微笑み最高ッス!」
「だからなんでいる」

迎えに来たんスよ!という田中。寂しがり屋か。
そのまま皆で部活に向かう。

「あ、これはさちの弟だな。あの1番」
「あっあのめっちゃ飛ぶやつ!」
「そう!日向翔陽っていうの。あ、絶対贔屓しないでね!!」
「ああ、そのつもりだよ。で、もう1人は・・・え、コイツって!」
「え、誰っすか」
「北川第一のセッター。影山飛雄。田中、威嚇しちゃダメだよー」
「しっしませんよんな事!」

(((絶対やるわー)))
残念ながらこういう事の田中信用度はゼロである。






着替えてドリンクの準備をする。

ここからは体育館へ行く渡り廊下が良く見える。
お、教頭が体育館に入って行った。
「キヨちゃんキヨちゃん」
「?」
ドン、というサーブの音

「面白いもの見に行こう」

ニヤりと笑って潔子ちゃんの手を引っ張り体育館へ向かう。




・・・・・・


「澤村くん・・・ちょっといいかな・・・」
「・・・」




「ぶっ!くっ!あはっあははははは!!みっみたキヨちゃん今の!あっはははは」
「っ!!っふ、ふふふっ!!」
「もっもう駄目、あははははははは」
「わっ笑い過ぎっ・・・!!」
「っだって!フサァッて!フ、フサッあははは」

体育館入り口からこっそり見ていた私達は教頭と澤村が去ると共に体育館へ崩れ落ちた。

「っ!ね、姉ちゃん!」
「翔ちゃーん!アンタ何やってんの!めっちゃウケる!」
「うおおお潔子さんの笑顔!最高っス!!」
「ひなちゃん笑い事じゃないから!」

ようやく笑いが収まってきたので2人に近づく。
おお、生影山くん大きいな・・・!!

「初めまして、マネージャーの3年日向さちです。こっちは同じくマネージャーで3年の清水潔子ちゃん。よろしくね。」
「ッス」ペコリ。

うおおおぺこり!可愛い!

「可愛い・・・」
「ッハァ?!」
「ツンツンだ!?しかもイケボ!デレがないよスガちゃん!」
「うん、ひなちゃん疲れる。」
ハァーっと長い溜息をいただきました。

キラキラした目で見過ぎたのか数歩下がられた。
なんでや!


「で、翔ちゃんは初日から何やってんの!
どーせ影山くんに勝負だーとか言ったんでしょ!下手なくせに!」
「うぐっ」
「レシーブの基本がなってない。腰が高いし、腕の角度が悪いよ。どうせ中学でもトス上げてもらってばっかりなんでしょ。もー馬鹿だなぁ」
「んぐぐぐ」
「言っておくけど、大地くん怒ったらめっちゃ怖いよ。お姉ちゃん、贔屓しないでって言ってるし、大地くんが決めた事に反対する気も一切無いからね。」

あ、がーんって顔しとる。可愛いのぅ。

「影山くんも、ごめんね、弟が」
「・・・イエ」
「・・・大きくなったねぇ・・・」
「え?」
「ううん、なんでもない。」

あんなにちっちゃかったのにねぇ・・・。お母さんは君の成長(肉体的に)が嬉しいよ・・・!


「さ、そろそろ大地くん帰ってきそうだから潔子ちゃん、退散しとこう!」
「ウン」
「ずるい!!」





そしてその日の練習後、片付けをしていると勢い良く入り口をあける音がしたかと思うと、案の定勝負して下さい!の流れになり、土曜の午前に3対3をやる事になった。

これこそあの変人速攻の始まりで、烏が飛ぶ瞬間なんだ。
ニコニコして見守ってると

「ひなちゃんはいいの?」
スガちゃんが、少し気まずそうに聞いてくる

「うん!あの2人がコンビネーション組めたら凄い事になりそうだしね!」
「コンビネーション?!」
「そーそー!じゃ、翔ちゃんと帰るからばいばい!」




「翔ちゃん帰ろー」
「姉ちゃん・・・」


「大地くん、厳しいでしょ。
でも間違った事は言わない人だからね。
それは翔陽もわかってるでしょう?」
「・・・うん・・・」
「それに、性格は合わないかもしれないけど、影山くん、すっごく上手いじゃない。最強の味方だよ。頑張って練習して、トス上げて貰って、勝って見返せばいいよ。」
「うん!絶対勝ってやる!姉ちゃん、帰ったら練習付き合って!」
「ん〜・・・明日早いんでしょ?なら無理にやっても駄目。今日は休んで、朝から全力出せるようにすること。わかった?」
「えぇ〜・・・でも・・・」
「焦ったら駄目。今日は早く寝ること!」
「・・・はぁーい・・・」







翌朝6時50分

「おはよー。」
「!!さちさん!あっイヤこれは!」
「大丈夫、大地くんには言わないから!
ハイこれ渡しに来たの。」
「?何スか?」
「朝ご飯がわりのおにぎり。
8個あるから、4人で分けてね。」

「「「「!!!」」」」


「や、ヤベェ、じょ、女子の手作り・・・!!」
「田中の言い方キモい!」
「ありがとーひなちゃんよく4人ってわかったね!」
「来そうな人を考えたらこうなった」
「たしかに」
「ほらほら影山くんもおいでー。」

「・・・あざっす」

やばい影山に黒い猫耳と尻尾が見える・・・!
こう、警戒しつつも寄ってくるあたりが!
お腹空いたんだろうなぁ。口元がニヨニヨしてる!!かわいいなー。

「姉ちゃん俺おかかとツナマヨ!」
「ん、あっこら全員食べる前ににお手拭きで手拭いて。こっちはお茶ね。」
「お母さんか」













「影山くん影山くん」
「ハイ」
「美味しい?」
「美味いっス」
「良かったぁ。あっ、ちょっと屈んでくれるかな」
「?」
ナデナデ
「っ!髪の毛サラサラ・・・!!」
「!!!」ズザーー

警戒された!!
「スガちゃんどうしよう猫がいる・・・!!!」
「ぶはっ」
キョロキョロ
(自分の事言われてるって気付いてない・・・!かわいい・・・!!)


前へ 次へ


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -