「たーいーがー」
私の彼氏は世界で一番素敵な彼氏だと思うの。
背が高くて、スポーツ万能。料理だってなんでも作れちゃうし、何よりも自分のことに真っ直ぐで男前な性格。ただ、ちょっぴり不器用で、勉強もまあ「アレ」なんだけどね。
「うお……! いきなりひっつくな、バカ。料理できねーだろーが」
「うう……大我が冷たい」
「下手な泣き真似すんな!」
「残念……。ばれたか」
私は、キッチンに立つ大我に背後から抱き着いてみた。
言葉では離れろなんて言うけど、それを振り払うなんて大我は絶対にしない。そうすると、やっぱり優しいなぁって、私はもっともっと大我が好きになった。
「今日のご飯はなあに?」
抱き着いたまま大我の手元を覗き込むと、大我は豚肉を細長く切っている所だった。
大我には料理に対するこだわりがあるみたいで、もちろんそのための調理器具だって同じ。だから、包丁で、すーっと軽く線を引くだけで、お肉は綺麗に半分になっていた。
「今日は豚肉とピーマンが安かったから青椒肉絲だ」
「う……。ピーマン嫌い」
「ガキみてーに好き嫌いしてんじゃねーよ」
「だってピーマンは苦いからイヤ。小学生のころからずっと食べてないもん」
「はあ? それマジか?」
「マジです」
「よっしゃ。それなら、名前がおかわりしちまうくれー美味いの作ってやる」
楽しみにしてろって、大我はニカっと笑った。
その笑顔に、私はまた一つ大我のことが好きになる。
「あーもう、なんだろう。私ね、大我のことが好き。今日だけで二回も大我に惚れ直しちゃった」
「…………」
「ねえ、聞いてる?」
大我の背中にぐりぐりとおでこを押し付けて訊ねてみても返事はなくて、かわりに包丁の軽快な音が聞こえた。
「好きに限界ってあるのかなぁ……。もし限界があるのなら、私近いうちに爆発して死んじゃうかも……」
「痛ってぇぇぇ!!!」
「え、ちょ、大我?」
大我が身体を仰け反らせるようにして声を上げたから、私の身体は否応なしに大我から離れてしまう。
ガシャンと乱雑に包丁をまな板の上に置くと、大我はすばやく人差し指を流水ですすいでいた。
「大我が指切るなんて初めて見た……」
「誰のせいだと思ってんだ、バカ!!!」
「え……?」
大我の言い方はまるで私を責めているみたい。身に覚えがないと首をかしげて大我を見上げると、彼は耳まで真っ赤にしてこちらを見ていた。
「顔真っ赤だよ?」
「うるせー! つーか、オレだって何度もお前に惚れ直してる! それに好きに限界なんてねーから安心してオレに惚れ直せ! あと、マジで料理に集中できねーからリビングでテレビ見てろ!」
目をかっと開いて、でも顔は真っ赤で。
そんな大我が可愛くて、今日で3回目、大我のことが好きで好きで胸がぎゅっと締め付けられた。
でも、大我曰く、好きすぎて死んじゃうことはないらしいから安心、かな?
私は何度だって貴方に恋するの
「料理をするかがみんを照れさせる」というテーマをいただきました!
かがみんは照れたら黙るor怒鳴る(顔真っ赤で)のどっちかだと思うんですがどうでしょう?
初かがみん小説でちょっぴりドキドキしていました!
今回のテーマをくれた美雨とはツイッターでいつも仲良くしてるのに、改まったようにフリリクメールをしてきてくれて驚きました(笑)
まったく、可愛いなぁ。ありがとう(*´ω`)
最近かがみんが愛おしくて辛いらしい美雨に少しでも喜んでもらえたら嬉しいです!
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