「みあ、ずぇーったいに1人になっちゃ駄目!声をかけられてもついて行っちゃ駄目だよ」
何度こう言われたかはわからないけどボンゴレの人達に会うたび言われた。どうやらパーティーは私が思っている以上に危ないみたいだ。
で、兄と共に車で会場前にいるわけなんだけど本当に私なんかが来てよかったんだろうか。女の人はみんな綺麗なドレスを着てばっちりメイクしてるし…、かといって私のドレスが綺麗じゃないわけじゃない。リボーンが私に合うドレスを見立ててくれたんだから。淡い桃色で腰にはふわりとした大きなリボン、丈は長すぎず短すぎず丁度いい感じだし。メイクはナチュラルに。
「よし、行こっか」
「うん」
車から降りると兄がはい、と腕を差出してくるから私達、兄妹だよ?て言うとみあがあまりにも綺麗だから忘れてた、なんて嬉しいことを言ってくれるから少しだけ腕を回してみたりした。
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あれからしばらくは私の隣に居てくれた兄だったけどバジル君に引っ張られて挨拶回りに行ってしまった。だから1人になってしまったわけで…。
「ずぇーったいって言ったのはツナ兄なのに…」
ぐるりと見回してみても私の知らない顔ばかり。雲雀さんはどこにいるんだろうか。1人が心細すぎる、どうしたらいいのかわからないし…。だから会場の片隅に移動してそこからパーティーでも眺めることにした。端っこなら目立たないから大丈夫だよね?
「みあっ!」
会場の端っこに寄ってしばらくしてからポンと誰かに肩を叩かれた。
「わっ、山本さん!」
「よっ!1人?」
「はい、ツナ兄と一緒にいたんですけどバジル君に連れてかれちゃって。1人になるなってしつこく言ったのはツナ兄なのに」
「で、あんまり目立たない端っこにいるってわけだな」
「はい」
端っこにいるなんてもったいないと山本さんが私を連れて食事が沢山並べられているところまで連れていってくれた。
「みあ、沢山食べるといいのな!」
「うわー、どれも美味しそう」
「ほら取れ」
山本さんからお皿を受け取った私は迷いながら食べ物を取った。山本さんを見るととてもニコニコしていた。
「わ、このお寿司おいしい」
「へへっ、その寿司は俺が握ったんだぜ!」
「さすが山本さん!」
「食べたくなったらいつでも来いよ!」
それからしばらくは食事を楽しんでお腹が満たされたところでウェイターさんにお水を貰った。山本さんはと言うと色々な人に話し掛けられながらも私の隣に居てくれた。迷惑じゃないですか?て聞いてみたら全然と言ってくれたから少しホッとした。兄は全然戻ってこないし。
「はー、お腹いっぱい」
「腹が満たされたところで、最近どうなんだ?」
「何もないですね。ただ私は雲雀さんの部屋で一緒にお仕事させてもらってます。」
「何もなくなんかねえじゃねえか!それは凄いことだと思うのな」
「そうですか?」
「ああ」
「山本さん、パーティーに来てから雲雀さんをみかけないんですけどどこにいるかわかりますか?」
「たぶん雲雀ならあそこにいるんじゃないか?」
そういって指さされた場所を見てみると女の人が沢山群がっててその真ん中に真っ黒な頭がちょこんと見えた。
「本当だ…」
「みあも中に混ざりたいのか?」
「はい…。あんな風に好きって言えたらどんなに楽なんでしょうね。それがどう転ぶにしても…」
「でも今みたいに何も行動せずただ側にいるのもいいんだろ?」
コクンと頷きただ向こうの方に見える真っ黒な頭をみつめた。
近くて遠い人20120109
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