コーヒーとオレンジジュース



旅の途中で立ち寄ったカラハ・シャールでジュードは足らなくなったグミやらボトルやらを買出しに出かけた。
本当はアルヴィンに付き合って貰おうと思っていたのだけれど、泊まっていくといいと言ってくれたドロッセルと話をしているうちに
いつのまにか居なくなってしまったのだ。
アルヴィンが何かと単独行動を好むことはわかっていた。
だけど、久しぶりに二人になれるかもしれない機会を逃してしまったのにジュードは深いため息を吐かずにはいられなかった。
少しぐらい待っていてくれたっていいのに。
アルヴィンは僕と一緒にいたくないのだろうか、なんてマイナス思考にも陥ってしまう。
だって一応僕とアルヴィンは恋人同士なのに。
恋人って言ったらもっと甘い時間を想像していたんだけど、アルヴィンが僕に甘いのは夜の…その、営みをする時くらいだった。
二人でデートなんて殆どしたことないし、日ごろのアルヴィンの僕に対する態度は恋人というより弟に近い気がする。
もしかしたらアルヴィンは快楽のためだけに僕と付き合っているのだろうか。
もしかしたらアルヴィンには僕よりも大切な相手がいるのかもしれない。
そんなはずはないと思う反面、100%違うとは思えない自分が嫌でしかたがなかった。

頭をぶんぶんと振ってそんな今のマイナス思考を追い出そうとする。
「そんなはずないよね…僕はアルヴィンを信じてるんだし、大丈夫大丈夫。
 にしてもちょっといっぺんに買いすぎたかな。」
自分に言い聞かせるように言うとなんだか本当に疲れてきたので近くのカフェで休憩をすることにした。
迷った末アルヴィンがよく頼んでるコーヒーを僕も頼んでみたんだけど、苦すぎて半分も飲めなかった。
失敗した、おとなしくオレンジジュースにしておけばよかった。
なんだか泣きたくなってきた。
コーヒーとオレンジジュース、これが僕とアルヴィンにある境目な気がしたのだ。
これ以上ここにいたら本当に泣いてしまいそうだったので急いで会計をすませると店を出た。
ふと空を見上げると雲ひとつない綺麗な青空が広がっているのに僕の心はしとしとと雨が降っているようだった。
「好きなのに…好きだからもうムリなのかもしれない」
そんな言葉が雨と一緒に降ってきている気がしてならなかった。

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