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あの時、副会長は何を言わんとしていたのだろう。気になってはいるが、不服そうな隊員たちが勝手な行動をしないか目を光らせるのに忙しくて、ゆっくり思考を巡らせる暇などなかった。
そもそも、原因はこいつにあるんだ。目の前で会長にすり寄っている黒キノコ、もとい、鳴瀬奏。
「そろそろ体育祭だね」
「あー、そういやもう5月か。めんどくせー」

昼休みの食堂、ただの紅茶でも様になっている会長と、心底だるそうな柿島会計。

「森垣くん達は何の競技に出るのかな?」
「あ、俺は運動はあまり得意でないので玉入れを……千秋、じゃないや、松下は徒競争です」
「俺は借り物競走!!」
「ふふ、楽しみだね」
「恵斗は何やるんだー?」
「僕たちは役員だからね、自由参加なんだよ。……あ、でも知己は何か出るんだっけ」
「職員合同リレーな。くそっ、星谷のやつ、調子に乗りやがって……」
星谷……って、養護教諭の星谷先生のことだよな、確か。仲いいのかな。

「まぁまぁ、いつも保健室貸してもらってるんだし。」
「うっ……それは、そうだけどよ……」
気まずそうに顔を伏せる柿島会計。

ふと視線を感じて顔をあげると、今まで一言も口を開いていなかった辻中書記と目があった……ような気がした。まさか、な。こちらには俺の他に、千秋や鳴瀬もいるし、きっと気のせいだろう。


「彰、さっき鳴瀬くんのこと見てたでしょ」
「……」
「俺が気付かないわけないじゃん。なに、協力してあげようか?」
「……遼、気持ちはありがたく受け取っておくが……」
「あーはいはい、余計なことするなって言うんだよね。ったく、昔から強情なんだから」
「……」
「まぁ、俺はいいけどさ、森垣くんに何かあったら恵斗が怒るからね。気をつけな」
「……わかっている。」

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