ピアス_1

ピアスを開けた。
俺ではなく、俺の恋人が。

「小野が片方だけ開けてるの見て、かっこいーって思ったから」
阿呆が。そんな理由で勝手に体に穴を開けたのかよ、と俺は少し怒りを感じた
「親にもらった体なんだから大事にしろよ」
「自分のことは棚にあげといて、何言ってるんだか」
そう言われると返す言葉がない。
「まだ慣らしてるからいじれないんだよなー」
「あんまり触ると化膿するから止めておけって」
気になるのか、左耳を触りながら柴田が言う
「でもこれで小野の浮気も防止できるし、一石二鳥ってやつだなっ」
得意顔の柴田に、意味が解らないという顔の俺。
「……は?」
なんだってお前が耳に穴開けることで、他の奴が気にならなくなるんだ。それに、そもそも浮気とか疑われるような事したか?
「小野はモテるから、ピアスの余った片方が欲しい奴なんて山ほどいるだろうし」
「で、お前がその片方を装備することによって俺とお前の仲を印象づける、と?」
その通り、と大きく首をふって柴田は続けた。
「小野は俺だけのものだから」
「…よく恥ずかしげもなく言えるよな」

寧ろこっちのが心配だっての。


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